結婚が決まった後、憂鬱になったり不安になったりしてマリッジブルーに陥る人がいます。男女問わず、結婚生活に多少の不安を覚えることはよくありますが、中には婚約破棄までしてしまう人もいます。マリッジブルーで婚約破棄してしまう原因や破局を回避する方法などを紹介します。
マリッジブルーがひどく婚約破棄まで考えてしまう…
結婚が決まり、結婚式に向けて幸せの絶頂の時期のはずなのに、急に結婚生活や将来に不安を覚え、落ち込んだり憂鬱になったりする人がいます。新しい生活が始まる前は、男女問わず誰でも不安になったり、迷ったりすることはあるものです。しかし、そうした不安や迷いから結婚をやめようかと考えたり、精神的に不安定になったりすることもあります。
マリッジブルーを通り越して鬱になりそうです。
結婚まで一ヶ月を切った今さら、またさらに結婚したくないと強く思ってしまいます…
結婚準備や色々なこと、不満、心配などで相手への気持ちが冷めてしまったような気がします…。
とっても優しくて穏やかで、凄く大事にしてくれ、愛情を注いでくれるし、こんなに今まで信用できた人は他にはいない!と思って結婚決めたものの…
今では、あぁ、この人と結婚するんだ、この人と一生付き合っていくんだ、もう心に残るあの人には会えないんだ…とか、そんなことばかり考えてしまいます…。
婚約破棄を考えています。
相手の女性は現在28歳で、12年間交際しています。
過去に相手に浮気をされて一度別れたこともあります。
年も年で子供も欲しかったため、結婚を心に決めてプロポーズを行い、相手の両親にも挨拶に行きました。
プロポーズをし挨拶をしに行ったまでの期間は2週間です。
挨拶を終え、結婚を真剣に考えてる時にマリッジブルーになりました。
原因は、お互い将来のことや価値観のすり合わせなどをほとんど行なっておらず、将来の事に対する不安が強くなったためだと考えています。
また過去浮気された事も思い出ししんどくなりました。
こうした結婚への不安や迷いにから生じる症状をマリッジブルーと言います。どうしてマリッジブルーになってしまうのか、結婚前の不安の原因や心理とともに、婚約破棄といった事態を回避する方法を解説します。
マリッジブルーとは
マリッジブルーとは、結婚を前にした人が結婚後の生活や将来に不安を抱き、気分が落ち込んだり、感情的に不安定になったりする症状をいいます。結婚直後にマリッジブルーになってしまう人もいますが、結婚前の場合は婚約破棄にもつながりかねないだけに、大きなトラブルに発展しがちです。
マリッジブルーは男女問わず、症状が現れる可能性があります。新生活が始まる前に不安や悩みなどを抱えることはよくあるので、多少、感情的になったり、落ち込んだりする程度なら問題はありません。しかし、深く悩んだり、日増しに不安が大きくなったりして、次のような症状が長く続くときは要注意です。
・気分が落ち込み憂鬱になる
・不安でじっとしていられなくなる
・イライラして、相手に怒りをぶつけてしまう
・食欲がなく、体がだるい
・気分が落ち着かず眠れない
マリッジブルーになる人の割合は?
デジタル認知行動療法アプリ「Awarefy」を開発したHakaliが2022年にマリッジブルーの男女差に関する調査を行いました。結婚5年以内の既婚男女へのアンケートでしたが、マリッジブルーを経験した人の割合は男性34.0%に対し、女性は42.3%となり、それほど大きな差は出ませんでした。
女性の方が割合がやや高いのは、名字が変わったり、夫の両親と住んだり、会社を退職したりと男性より結婚による変化が大きいためだと思われます。進学や就職、引っ越しなどで生活環境が変わったため、ストレスによって心身の不調を訴えるようになる人は珍しくありません。マリッジブルーは誰にでもなる可能性があるのです。
マリッジブルーで婚約破棄したくなる原因
マリッジブルーによる不安や気分の落ち込みなどがひどい場合、「結婚してもうまくいかないのではないか」という気持ちが強くなり、破局してしまうことさえあります。婚約破棄まで考えてしまう理由や、そのときの心理について解説します。
結婚生活に不安がある
結婚することで、生活環境は大きく変わります。住み慣れた実家を離れる人もいれば、知らない街で暮らし始める人もいるでしょう。特に女性の場合は、名字が変わったり、退職したり、夫の家族と暮らし始めたりする人もいて、大きく生活が変わってしまう人もいます。
今まで一人暮らしの経験のない人は、夫婦2人だけの生活に不安を覚えることがありますし、家族や友人との別れに寂しさを感じる人もいます。名字が変わったり、退職したりすることで、自分の過去を捨ててしまうような感傷的な気分になってしまうこともあるでしょう。そうした気分によって不安が増幅されてしまうことがあります。
結婚相手に対して不安を抱いた
結婚すると、相手と2人で家庭を築き、長く生活を共に送ることになります。恋人同士のときは「この人と離れたくない」と思っていても、いざ、結婚相手として相手を見た時に印象が変わってしまうことがあります。頼りなさや価値観の違いに気付き、相手に不満を感じてしまう人も少なくありません。
恋愛と結婚の大きな違いは、相手の家族とも付き合っていかなければならないことです。恋人同士のときには気にしなかった相手の両親やきょうだいとの関係に不安を抱くこともありますし、性格的に相いれないことあります。「相手の家族とうまくやっていく自信がない」という不安はやがて、結婚生活そのものへの疑念になっていく可能性があります。
結婚準備の忙しさやストレス
結婚式や披露宴を予定している場合、式場との打ち合わせや招待状の発送、引き出物選びなどやらなければならないことが数多くあります。こうした準備は結構煩雑で、結婚する2人の間で意見が食い違うことも少なくありません。また、どちらかが仕事で忙しく、一方が準備を押し付けられてしまう形になることもあるでしょう。
こうした結婚準備の中で、相手との考え方や価値観の違いに気付くことがありますし、忙しさやストレスから喧嘩がちになるカップルも少なくありません。気疲れやストレス、相手とのすれ違いに対する不満などが積み重なると、精神的に不安定になる可能性は十分にあります。
金銭面への不安
結婚にはお金もかかります。結婚式だけでなく、新居への引っ越し、新婚旅行など、切り詰めることも可能ですが、一生の思い出に残るイベントにしたいと思う人も少なくありません。一方で金銭的負担の大きさに不安を抱く人もいるでしょう。お金がないので、式も旅行もしないというカップルもいますが「もう少しお金があれば」と不満を抱く人もいます。
結婚すれば、毎月の生活費や将来にむけた貯蓄など、経済的に厳しい現実に突き当たることもあります。金銭面への不安があると、結婚が決まった途端、現実に向き合わざるを得なくなり、精神的に不安定になる可能性があるのです。
マリッジブルーで婚約破棄できる?
結婚を前にマリッジブルーとなり「やっぱり別れたい」と思ったとき、婚約破棄は可能なのでしょうか。婚約破棄できるケースや、婚約破棄したときの影響について解説します。
婚約破棄の正当な理由とは
婚約とは、結婚するという約束であり、法律的には契約の一種です。このため、正当な理由がなくては契約を破棄できませんし、一方的に契約を破ったときは、損害賠償や慰謝料を請求される可能性もあります。正当な理由に当たるかどうかは、それぞれ個別の事情によって判断されます。
婚約破棄に正当な理由があると判断されるのは、次のようなケースです。
・婚約者の浮気
・婚約者からのDV
・婚約者が重大な嘘をついていた
・結婚生活を送るのに重大な支障が生じた
浮気やDVなど、将来の円満な夫婦関係が期待できない事情が生じた場合は、婚約破棄の正当な理由になると考えられます。多額の借金を隠していたり、職業を偽っていたりした場合も、婚約破棄の正当な理由になる可能性があります。病気や事故で働けなくなったり日常生活に支障を来すようになったりしたときも、結婚生活を送るのは難しいと判断されるでしょう。
婚約破棄したときのデメリットは
マリッジブルーで婚約破棄すると、正当な理由のあるなしにかかわらず、さまざまなデメリットが生じます。少なからず損害を被ることも多いので、損害の負担をめぐり、婚約者同士で争いになることもあります。具体例を挙げると、次のようなデメリットが考えられます。
・婚約指輪や結納金の返還
・結婚式場や新婚旅行のキャンセル
・新居や引っ越し、購入家具などのキャンセル
・招待客や親族への説明と謝罪
・人間関係や仕事への悪影響
婚約指輪をもらっていたり、結納を済ませてお金や品物を交わしていたりした場合は、指輪や結納金、結納品などを相手に返す必要があります。また、結婚式場や新婚旅行を予約していたり、新居や引っ越しの契約を済ませていたりした場合もキャンセルが必要です。キャンセル料を支払うのは、一般的に、婚約破棄の原因を作った側になります。
婚約破棄は、双方の人間関係にも大きな影響を及ぼします。結婚式に招待していた人や親族には、婚約を解消したことの報告と謝罪が必要ですし、婚約解消の理由によっては、友人や同僚、取引先の信用を損なってしまうこともあります。最悪の場合、仕事にも影響が出てしまうことがあるでしょう。
慰謝料請求される可能性は?
正当な理由がなく、一方的に婚約破棄した場合、損害賠償や慰謝料などを請求される可能性があります。婚約破棄された側は、関係先への報告や謝罪、式場などのキャンセル、期待していた結婚生活が実現しなかったことなどで、精神的苦痛を受けます。こうした精神的苦痛に対する賠償が慰謝料です。
婚約破棄の理由が正当だとは認められず、慰謝料を請求される可能性があるのは次のような理由で婚約破棄したときです。
・ほかに好きな人ができた
・性格が合わない
・親が反対している
・家庭環境が違い過ぎる
・相手に対する差別感情
「ほかに好きな人ができた」「性格が合わない」「親が反対している」「家庭環境」という問題は、事情によっては必ずしも不当だとは言えないこともあります。しかし、一般的には婚約破棄の正当な理由にならないと考えられることが多いでしょう。
慰謝料の額は、当人同士の話し合いで決めるのが通常ですが、どちらの側に責任があるのかを巡って争いになることもあります。話し合いで決まらなければ、裁判で争うことになります。慰謝料の額は、判例などをもとに個別の事情に応じて決められます。一般的には数十万円から200万円程度で決着することが多いようです。
慰謝料の判断材料となる主な事情
・婚約を破棄する理由
・交際の期間
・婚約していた期間
・妊娠、出産の有無
・仕事への影響
佐々木 裕介
正当な理由のない婚約破棄をすると、多くの場合、結婚式場のキャンセル料や家具購入費用などの財産的損害を賠償しなければならなくなります。婚約解消の動機や方法などが著しく不当な場合、精神的な苦痛に対する慰謝料や結婚退社による逸失利益についても問題になることがあります。
【体験談】マリッジブルーで婚約破棄をした人のその後
マリッジブルーで婚約破棄した後、どのような人生を歩むことになるのでしょうか。婚約破棄した人の「その後」を体験談とともに紹介します。
周囲の信頼を失う
婚約を解消すると、双方の家族や親族をはじめ、結婚式場や招待客など多くの人に迷惑をかけます。このため、周囲からの信頼を失うことになります。ときには、引っ越しや転職をしなければならなくなることもあるでしょう。
しかもマリッジブルーは一時的な症状であることが多く、婚約解消後に「やはり復縁したい」と思うこともあります。しかし、多くの場合、相手の愛情は既に冷めているでしょう。もし、相手が許してくれても、周囲の猛反対を受けるのは明らかです。
私のマリッジブルーが原因で婚約解消をしました。その後、マリッジブルーは消え、後悔でいっぱいになりました。婚約解消した彼とは親には内緒で解消後から会っていて、話し合いを重ねてきました。
ただ、両親やそのほか周囲の人を巻き込んだ解消だったため、元に戻るのはかなり厳しくなってしまいました・・。
特に彼の両親はもう私を悪く言っていて、また結婚ということは反対するだろうということでした。
彼自身は私とは結婚したいけれど、ここまで両親の私への気持ちがこうなっているとどうしてよいかわからないとのことでした。
後悔する
婚約解消後に後悔の念に苛まれる人もいます。特に、話し合いなどの努力を十分にせず、一時的な感情で婚約を破棄してしまった場合は、失ったものの大きさに気づき、激しく後悔する人が多いようです。
マリッジブルーのように精神的に落ち込んでいるときは、冷静な判断ができなくなっています。そうしたときに人生の決断をするのは危険です。「復縁したい」という後悔の念や未練で、さらに精神的なショックやストレスが重なり、うつ病などの精神的疾患を発症してしまう恐れもあります。
極度のマリッジブルーで婚約破棄となってしまいました。
29歳女です。
待ち望んでいた結婚式が近づくにつれて様々な事情が重なり不安で押し潰されそうになり、錯乱状態で一旦式の中止を申し出てしまいました。話し合い、不安要素を少しでも解決して症状が落ち着いてから前に進みたかったのですが上手く伝わらず婚約破棄となってしまいました。身勝手な申し出をしてしまいました。
彼を失ってから後悔ばかりで、ただ傍にいてくれるだけで良かったんだ、私がもっと強ければ良かった、頑張れば良かったと毎日泣き続け、食事もほとんど摂れず、眠ることもままならず、心身共にボロボロです。
最近になって適応障害というものを知り、錯乱状態だった自分に当てはまる事ばかりで、もっと早く知っていれば、もっと早く対処出来ていればこんな事にならずに済んだのに…。
別の人と結婚する
相手との結婚生活に不安を感じたからといって、必ずしもマリッジブルーとは限りません。「この人とはうまくいかないのではないか」という結婚前の予感が的中してしまうこともあります。振り返れば、相手との結婚に不安を抱いたときが、最後の引き返すチャンスだったということも少なくありません。
マリッジブルーではないかと思ったら、冷静になって2人の関係を見つめ直してみることも必要でしょう。それでも、結婚生活に不安があるのなら、婚約破棄も一つの選択です。不安を感じた相手との婚約を解消した後、別の相手と結婚して幸せに暮らしている人もいます。
付き合っている分にはその日が楽しければ良いと思っていましたが、結婚となるとこの先ずっとこの人とで大丈夫なのか?と不安になりお別れしました。
申し訳なく思いましたが、やはり一生の事なので・・・。
取り除けるような不安なら取り除けば良いかと思いますが、一度思ってしまうとなかなか取り除くのは難しいかと思います。
後悔したことがない!と言ったら嘘になりますが、その後価値観の似ている相手と結婚して幸せに暮らしています。
マリッジブルーで婚約破棄をして後悔しないために
マリッジブルーで婚約破棄をして後悔しないようにするにはどうすればいいのでしょう。冷静な判断をするために必要なことを紹介します。
相手とよく話し合う
結婚を前に不安や悩みを抱えているのは、おそらく相手も同じです。もし自分では解決できない不安を抱え、「別れたい」という考えが頭をよぎるようなら、思い切って相手に話してみましょう。相手に話すことで、自分の気持ちを整理できるかもしれません。
結婚すれば、さまざまな問題が起きます。そのたびに2人で話し合って解決していけば、夫婦の絆は固く結ばれていきます。結婚前から不安について話し合っておけば、結婚後も同じように対応できるはずですし、2人の将来についてよく話し合うきっかけにもなるでしょう。
第三者に話を聞いてもらう
結婚している夫婦であれば、誰でも結婚前に多少の不安はあったはずです。しかも、3割から4割の人はマリッジブルーの経験があるという調査結果もあります。第三者の立場で話しを聞いてもらえる既婚者がそばにいれば、一度相談をしてみましょう。きっと気持ちを理解してくれるはずです。
また、相談できる人がそばにいなければ、夫婦問題に詳しいカウンセラーに相談してみてもいいでしょう。冷静な判断ができるようアドバイスをしてくれるはずです。
医療機関を受診してみる
マリッジブルーは精神的な症状の一つですが、病気ではなく、効果的な治療法があるわけではありません。しかし、心療内科や精神科医の診察を受ければ、治療によって気分が落ち着く可能性もあります。場合によっては不安や不眠を解消する薬が効果的なこともあります。
また、マリッジブルーは精神的な疾患が原因となっていることもあります。その場合は薬やカウンセリングなどの治療が有効です。病気かどうかがわかれば、不安にも対処しやすくなるでしょう。
マリッジブルーで婚約破棄を考えたら専門家に相談を
マリッジブルーは誰にでも起こる可能性がある症状ですが、対処法を間違えると、婚約破棄などのトラブルに発展し、取り返しのつかないことにもなりかねません。そうしたことのないよう、マリッジブルーで婚約破棄を考えたときは、カウンセラーや専門医といった専門家に相談することも必要です。
早まって婚約破棄して後悔することのないよう、冷静に2人の関係を見つめ直してみましょう。きっとよい解決策が見つかるはずです。
佐々木 裕介/チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所(第二東京弁護士会所属)
「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。