モラハラ被害者の特徴とは？被害に遭いやすい人の共通点と対処法を解説

モラハラ被害者になりやすい人には共通の特徴があります。精神的DVともいわれるモラハラは、周囲から気づかれにくく、被害者自身も認識していないケースも少なくありません。この記事では、モラハラ被害者に見られる特徴や被害に遭いやすい人のタイプ、具体的な対処法について詳しく解説します。

この記事でわかること
・モラハラ被害者に共通して見られる心理的・行動的特徴
・モラハラ被害に遭いやすい人の性格や環境の傾向
・モラハラ被害を受けた際の具体的な対処法と相談先

モラハラ被害者の共通点は？

モラハラとは「モラルハラスメント」のことで、道徳や倫理に反したいやがらせで相手に精神的苦痛を与えることです。精神的なDVともいわれます。DVとは違い、肉体的な暴力を振るうわけではないので周囲は気づきにくく、加害者も被害者もモラハラだと認識していないケースも多く見られます。モラハラ被害者にはどのような共通点があるのでしょうか。

長期にわたってモラハラのターゲットにされ続けると、被害者はどのようになるのでしょうか。多くの場合、加害者は相手の失敗や間違いを激しく責め、自分の思い通りに行動するよう要求します。このため、被害者はしだいに自信を失い、自発的に自分で考えて行動できなくなっていきます。

モラハラ被害者によく見られる主な特徴を挙げます。

・自分に対する自信を失う
・思ったことを口に出せなくなる
・相手の顔色をうかがうようになる
・無気力になる
・心の病気になってしまう

加害者は激しい叱責や冷笑、無視といった言動で被害者を精神的に追い詰め、自分に従わざるを得ない状況を作り出すのが特徴です。そのため、被害者はしだいに相手に従属するようになり、自分で考えても無駄だと思い、無気力になっていきます。最後は心の病になる可能性もあります。

モラハラ被害者になりやすい人の特徴7選

モラハラ気質のある人には、プライドが高く、自分の非を認められないなどの特徴がありますが、モラハラ被害に遭いやすい人にも特徴があります。モラハラされやすい人の特徴は主に次の７つです。

経済的・精神的に自立できていない人

専業主婦の女性の場合、夫に経済的に頼っている場合が多く、精神的にも頼ることも多くなります。夫のほうも家事や育児は妻に任せているからと、信頼し頼りにしていれば問題は起こりませんが、モラハラ夫は経済的に優位な立場を利用して、妻を自分の支配下に置こうとします。

自分に自信を持って、相手のモラハラをはねつけることができれば問題はありません。しかし、経済的・精神的に引け目を感じ、自立できていない人は、相手からモラハラを受けても抵抗できず、受け入れてしまうことが多いようです。

素直で欲がない人

素直に相手の言う事を聞き、あまり欲のない人もモラハラされやすいようです。素直な人は相手の言う事を鵜呑みにする傾向があり、欲もないため、気が強い人とは違って、あえて相手とは違うことをしようとか、もっといい方法を選ぶということもあまりしません。

モラハラをする人は素直に自分の言う事を聞く人が大好きです。相手をあまり疑わない素直さにつけこんで精神的苦痛を与えて、自分のコントロール下に置こうとします。

忍耐強い人

忍耐強い人は、多少の暴言や冷たい態度にも耐えて、相手に尽くそうとします。これは、忍耐強い人が「相手が不機嫌なのは自分に悪いところがあるからだ」「自分さえ耐えれば良い」と考えがちだからです。そうした心理にモラハラ男は巧妙に付け込みます。

自分の暴言や冷たい態度にじっと我慢する姿を見て、モラハラをする側は「自分が正しいから、相手は何も言えないのだ」と受け止めます。そうして家庭内で絶対的な地位に君臨していると勘違いするのです。我慢し続ける側の心が傷つき、ボロボロとなっていくことにモラハラをする側は全く気付きません。

交渉するのが苦手な人

モラハラ男の主張は理屈をこねるのが得意で、絶対に自分の非を認めません。そんなことは自分のプライドが許さないのです。このため、人と交渉したり、説得したりするのが苦手な人は、相手の矛盾を指摘できず、言いくるめられてしまいます。

モラハラ男はたいてい、自分が絶対に正しいと信じていて、自分の正しさを主張することで相手より優位な立場に立とうとします。こうした男に対し、論理的な話が苦手で相手を論破できない人は太刀打ちできません。モラハラされやすい人といえるでしょう。

自分を犠牲にすることを厭わない人

自分を犠牲にすることを厭わない人もモラハラされやすいでしょう。こうした人は「自分さえ我慢すれば、家庭内も丸く収まる」と考えて、相手の言う事に黙って従ってしまうことがあります。特に子供がいる場合、子供のことを考えて我慢してしまうことが多いようです。

一方のモラハラをする側は、相手が自己犠牲で自分に従っているのに気づかず、自分の言う事に従順なのだと思い込みます。そして、相手が自分に反論しないのをいいことに、モラハラをエスカレートさせていきます。

パートナーを全て受け入れようとする人

包容力があり、パートナーのすべてを受け入れようとする人も、モラハラされやすいです。悪い所も含めて相手を理解しようとし、モラハラを受けても「根は優しい人なのだから」「職場で仕事がうまくいかなかったのかもしれない」と考え、多少のことは受け入れてしまいます。

そうした包容力も、モラハラする側にとっては自分にとって都合の良い性格でしかなく、許されるのをいいことに要求をエスカレートさせていきます。そして、被害者もそれが当たり前のことに感じられるようになってしまいます。

自分に自信がない人

自分に自信がなく、つい他人に頼ってしまう人もモラハラされやすいといえるでしょう。そんな人にとって、自信に満ち溢れ、的確なアドバイスを与えてくれるモラハラ男は頼もしい存在に映るかもしれません。しかし、それもしだいに自分を抑圧し、束縛する存在へと変わっていきます。

自分に自信のない人は、ついつい他人に頼り、自分で物事を決めようとしない傾向があります。しかし、そうした性格が、相手のモラハラ気質を助長してしまいます。

モラハラ被害者のための具体的な対処法

モラハラ被害を受けている場合、適切な対処法を知ることで状況を改善できる可能性があります。一人で抱え込まず、以下の方法を参考に具体的な行動を起こしましょう。早期の対応が、被害の深刻化を防ぐ鍵となります。

証拠を記録・保存しておく

モラハラの事実を証明するためには、証拠の記録が不可欠です。日時や状況、相手の発言内容を詳細にメモし、音声や動画、メールやLINEのやり取りも保存しておきましょう。感情的な記録ではなく、客観的な事実を淡々と記録することが重要です。これらの証拠は、後に法的手続きや調停を進める際の重要な資料となります。

信頼できる第三者に相談する

モラハラ被害を一人で抱え込むと、判断力が低下し孤立感が深まります。まずは信頼できる家族や友人に相談し、客観的な意見をもらいましょう。第三者の視点を得ることで、自分が置かれている状況を冷静に見つめ直すことができます。相談することは決して恥ずかしいことではなく、むしろ問題解決の第一歩です。

カウンセリングを受ける

モラハラ被害は心に深い傷を残します。専門のカウンセラーに相談することで、傷ついた心のケアと今後の対処法についてアドバイスを受けられます。カウンセリングでは、自分の感情を整理し、自己肯定感を取り戻すサポートが得られます。医療機関や自治体の相談窓口、民間のカウンセリングサービスなど、さまざまな選択肢があります。

物理的な距離を取る

状況が深刻な場合は、加害者との物理的な距離を取ることが最優先です。別居や一時的な避難を検討し、安全な環境を確保しましょう。実家や友人宅、配偶者暴力相談支援センター（DV相談センター）など、頼れる場所を事前に確認しておくことが大切です。距離を取ることで、冷静に今後について考える時間も得られます。

法的手続きを検討する

モラハラが継続する場合や離婚を考える場合は、法的手続きを検討しましょう。弁護士に相談することで、慰謝料請求や離婚調停の進め方について専門的なアドバイスが得られます。法テラスや自治体の無料法律相談を利用すれば、費用面の不安も軽減できます。法的な選択肢を知ることで、より具体的な解決への道筋が見えてきます。

【Q&A】モラハラ被害者に関するよくある質問

Q.モラハラ被害者は自分で気づくことができますか？

モラハラ被害者が自分で被害に気づくのは非常に難しいケースが多くあります。加害者からの継続的な否定や支配により、徐々に判断力が低下していくためです。周囲の人から「それはおかしい」と指摘されて初めて気づくことも少なくありません。

Q.モラハラ加害者は治りますか？

モラハラ加害者が自ら問題を認識し改善するケースは極めて稀です。加害者本人が「自分に問題がある」と認め、専門的な治療やカウンセリングを継続的に受ける意志がなければ、根本的な改善は困難と考えられています。被害者側の努力だけで相手を変えようとするのは現実的ではありません。

Q.モラハラで離婚する場合、慰謝料は請求できますか？

モラハラを理由とした離婚では慰謝料請求が可能です。ただし、モラハラの事実を証明できる証拠（録音、メール、日記など）が必要になります。証拠が不十分な場合、請求が認められないこともあるため、日頃から記録を残しておくことが重要です。

Q.モラハラ被害を受けている友人にどう接すればいいですか？

まずは相手の話を否定せず、じっくりと聞くことが大切です。「あなたは悪くない」と伝え、被害者が自分で判断し行動できるよう寄り添う姿勢が求められます。無理に別れを勧めたり、急かしたりせず、専門機関への相談を提案するなど、具体的な選択肢を示してあげましょう。

Q.モラハラとDVの違いは何ですか？

DVは身体的暴力を伴う暴力全般を指すのに対し、モラハラは精神的な攻撃に特化したハラスメントです。モラハラは言葉や態度による支配が中心で、外傷が残らないため周囲に気づかれにくいという特徴があります。ただし、精神的なダメージは身体的暴力と同等、あるいはそれ以上に深刻な場合もあります。

モラハラ被害者になりやすい人はまずは友人へ相談

モラハラはマインドコントロールに近い部分があり、エスカレートすると被害者が洗脳されたような状態になってしまうこともあります。そうなるとモラハラの関係から簡単には脱却できません。

もし、自分がモラハラされやすいタイプに近いと感じたら、既にモラハラによる洗脳が始まっているかもしれません。自分ではなかなか気づけないので、親しい友人に相談するなどして自分の現在の状況を確認してみましょう。