子供がいるから家庭内別居?子供への影響は?
決して、子供の存在だけが理由になるわけではありませんが、中には家庭内別居という選択をする夫婦もいます。家庭内別居をする夫婦は、どのような理由から家庭内別居を選択するのでしょうか。
家庭内別居の理由は「子供がいるから」
関係が悪化した夫婦が家庭内別居を選ぶ理由は次の3つです。
1.別々に暮らすと家計の負担が重くなる
2.世間体が悪い、近所の目が気になる。
3.子供がいるから
別々の家に住めば、家賃や光熱費など家計の負担が重くなりますし、別居や離婚は近所に対し後ろめたさを感じるものです。そして、子供がいると、別居や離婚をした後の子供への影響が気になります。このため、「せめて子供が大きくなるまでは、家庭内別居でやり過ごそう」と考える人が多いようです。
家庭内別居のほうが子供は幸せ?
親は「両親と同居していたほうが子供のためだろう」と考えがちですが、実際、家庭内別居のほうが子供は幸せなのでしょうか。たとえば、ただ同居しているだけで、夫婦がいつもいがみ合っているようでは意味がありません。子供への影響を考えるのなら、夫婦として考えるべきことがありそうです。どのようにすればいいのか、考えていきましょう。
家庭内別居が子供に与える影響
子供への悪影響を抑える方法を考える前に、家庭内別居が子供にどのような影響を及ぼすのかを押さえておきましょう。子供は敏感ですから、夫婦関係の微妙な変化を鋭く察知します。そして、それは子供の考え方や行動、性格にまで影響することがあります。
結婚に抵抗感を抱く
家庭内別居をしている両親が、いつも目の前で喧嘩をしたり、いがみ合っていると、子供は結婚生活への夢を失います。自分が結婚しても、こんな状態になるのではないかと抵抗感さえ抱いてしまうかもしれません。相手は小さい子供だと思うかもしれませんが、幼い頃の記憶もその後の恋愛観や結婚観に影響を及ぼします。
多感な中学生や高校生の頃ならなおさらです。仲の悪い両親に嫌悪感さえ抱くかもしれません。大学生にもなると、大人の事情も理解できるようになるかもしれませんが、そのような両親とは距離を置きたいと考えるかもしれません。こうして、子供は仲の良い夫婦、家族関係を知らずに育ってしまいます。
家庭内別居でずっと離婚寸前のうちの親を思うと、結婚願望がなくなる。個人的にご飯いるいらないもそうだけど、家にいるかいないのかも子供に聞いてきて、伝書鳩扱いになるのが面倒だった。
結婚願望がある人って親が幸せというか家族仲良い人に多い気がします。私の親はほぼ家庭内別居で、夫婦間の会話はありませんでした。
自己肯定感が低くなる
不仲な両親の姿を見て心を痛める子供は「両親の仲が悪いのは、自分のせいかもしれない」と考えるかもしれません。小さい頃から「自分がいなければよかったのかもしれない」と感じながら育った子供は、自己肯定感が低くなっていきます。
子供は自分が愛されていると感じ、自分の成長を親が喜んでくれるのを見て自己肯定感を育みます。中学生や高校生、大学生であれば、テストの成績や入試結果、就職の内定などで親が喜ぶ姿を見て達成感を味わうはずです。そうした経験が乏しいと、子供は「自分は駄目な人間なんだ」「必要のない存在なんだ」と考えがちになってしまいます。
小さな自分にとって、居場所は家庭しかありませんでした。モラハラの亡き父に母は従うしかなくて、気が付いたら両親は家庭内別居の仮面夫婦でした。
私がいなければ、母は違う人生があったかもしれないと思った時期もあり、その頃は自己否定していました。
攻撃的な性格や内向的な性格になる
親の口論や暴力などを見て育った子供は、冷静に話し合い、譲り合って問題を解決するという方法を知らないまま大人になる可能性があります。人と意見が食い違ったとき、感情的になって相手を罵倒したり、暴力的に相手を屈服させようとしたりする攻撃的な性格になってしまうかもしれません。
一方で、親のように人と衝突することを避けようとするあまり、自分の意見を主張できない内向的な性格になるかもしれません。いずれにせよ、相手に敬意を払いつつ対等に接するということができなくなってしまう可能性があります。
両親が家庭内別居をしており、父親からは暴言を吐かれ、そして母親からは父親の陰口を聞かされる生活で育ちました。両親は自分の意見に耳を傾けることはなく、私自身も誰かに自分の話をするのが苦手です。
やる気を失い無気力になる
自分がどんなにいい子にしていても両親は仲良くしてくれない、自分の成長を心から喜んでくれないと感じながら育った子供は、いつも挫折感や不安感を抱いています。挫折感から「何をやっても無駄だ」と考えるようになったり、不安感から、物事に集中して取り組めなかったりするかもしれません。
大人も挫折感や不安ばかりを抱えていると、やる気を失い無気力になるはずです。中学生や高校生といった将来の進路を考える時期に、やる気を失っては子供の将来に関わります。大学生でも、社会に出てさまざまなことに挑戦するという気力が生まれにくいでしょう。
私が高校生の時、両親は家庭内別居状態でした。家の中は常に殺伐とした空気が流れていて、何かを楽しんだ思い出はありません。そんな日々が続いた頃、何をやっても誰も見てくれていないと思ったら、無気力な状態になってしまいました。
体調を崩す
大人でも子供でも、ストレスにさらされ続けると体調を崩します。小さい子供は体の不調をうまく訴えられないので、症状が出るまで親が気づけないこともあります。思春期の中学生や高校生はメンタルが不安定になることもあるでしょう。
特に小さい子供の場合、次のような症状が出たら、家庭内別居によるストレスが原因かもしれません。病院などで診てもらっても大きな病気が見つからなかった場合は、ストレスによる症状を疑ってみましょう。
・発熱する
・頭痛・腹痛を訴える
・アレルギーが出る
・じんましんが出る
・おもらしをする
・どことなく元気がない
夫婦喧嘩が増え、夫と家庭内別居をしていた期間がありました。別々で生活をすることで私は気持ちが楽でした。しかし、家庭内別居を始めてまもない頃に、子供が腹痛を訴えるようになりました。病院にかかっても異常はなく、お父さんがいるのに話せないことがストレスなのかもしれません。
家庭内別居で子供がストレスを感じる場面とは
家庭内別居が子供に悪影響を及ぼす大きな要因は子供へのストレスです。両親の関係がぎくしゃくしていると、子供はストレスを感じます。そうしたストレスの積み重ねがさまざまな形で現れます。では、子供はどのようなときにストレスを感じるのでしょうか。
両親が言い争ったり嫌味を言い合ったりする
普段は仲が良い両親でも、たまには言い争うこともあります。しかし、そんな光景を見ると、子供は多少なりともショックを受けるものです。そして、その場を離れ「早く仲直りしてくれるといいな」と考えることでしょう。
それが、いつも喧嘩をしたり、嫌味を言い合ったりしているようでは、子供もしまいにはうんざりしてしまいます。そして、いつか家の中で居心地の悪さを感じるようになるでしょう。子供がストレスを感じずに家でくつろげるよう夫婦で協力することが大切です。
家族が揃ってもよそよそしい
居間などに家族がそろう団らんのひと時は、子供にとって安らぎを感じられる時間です。ところが、家族がそろっても、父親と母親がよそよそしく気まずい雰囲気だったらどうでしょう。子供は居心地の悪さを感じてしまうはずです。
父親と母親は子供のために、わざわざ2人で顔をそろえているのかもしれません。しかし、2人の間に会話がなかったり、子供にしか話しかけなかったりといった不自然な態度は、すぐに子供に伝わります。仲の良い夫婦を演じる仮面夫婦であることも必要です。
両親に伝言役として使われる
家庭内別居に限らず、夫婦喧嘩の後でも、子供に相手への伝言を頼む人がいます。「お父さんに言っておいて」「お母さんに渡しておいて」などと、軽い気持ちで子供に頼んでいるのかもしれませんが、父親と母親の間で板挟みになった子供は、かなりのストレスがかかります。
大人でも、仲が悪い上司と先輩の間で板挟みになったら憂鬱になり、「いい加減にしてくれ」と思うはずです。そう考えれば、子供が相当のストレスを感じていることがわかるはずです。
親の悪口を聞かされる
夫や妻の悪口を言いたくなったとき、そばにいる子供に、つい愚痴や不平、不満を言ってしまう人がいます。でも、そんなことを聞かされても子供にはどうしようもありません。「そんなことを私に言ってどうするの」「自分がいるから、我慢して結婚しているの」と考えてしまうかもしれません。
自分にはどうしようもないことを、腹立ちまぎれに友人や同僚から聞かされてストレスを感じた経験のある人も多いでしょう。親の悪口を聞かされた子供は同じ思いをしています。仲が良い関係であってほしいと願っているにもかかわらず、仲たがいする両親の姿を見せられる子供は相当なストレスを感じています。
自分の家でくつろげない
両親が不仲で口論が絶えず、いつも家庭内がぎくしゃくしていると、子供は家の中で居心地の悪さを感じます。本来、家庭は子供にとって安らぎを感じる場所であり、時には避難場所であるはずです。それなのに家でもくつろげないのであれば、子供は行く場所がありません。
子供も学校生活や友人関係などでストレスを感じることがあります。家庭でも落ち着けないのであれば、子供のストレスを解消する場がなくなってしまいます。
家庭内別居での子供との接し方
子供のために家庭内別居という選択をしたのなら、子供の前では仲の良い夫婦を演じるべきでしょう。「仮面夫婦」という言葉もありますが、仲の良いところを見せて、子供を安心させることが大切です。
そのためには、夫婦の間で険悪な雰囲気にならないようルールを決めて置くのが良い方法です。互いにルールを守って生活をすれば、余計なトラブルが減り、互いに余裕も生まれるでしょう。最低限必要だと思われる子供に関するルールを5つ紹介します。できれば子供に関する事だけでなく、生活費や家事の分担など細かく決めておいたほうがよいでしょう。
きちんと挨拶をする
お互いに顔を合わせたくないくらい夫婦仲は悪化しているかもしれませんが、家庭内別居であれば、どうしても顔を合わせてしまうことがあります。そんなとき、露骨に嫌な顔をしたり、口論したりしていては子供に嫌な思いをさせてしまいます。せめてきちんと挨拶くらいはしましょう。
社会生活を送っていれば、嫌な相手にも挨拶をしなければならないことはあるはず。大人のマナーと割り切れば、抵抗もないはずです。大人同士で挨拶する姿を見せることは、子供のお手本にもなるでしょう。
子供に仲介を頼まない
家庭内別居に限らず、夫婦喧嘩の後でも、子供に相手への伝言を頼む人がいます。それだけでも、子供は嫌な思いや悲しい思いをしてストレスを感じます。毎日のように、子供にそんな思いをさせてはいけません。言いたいことがあれば、直接言うか、LINEやメールで伝えることをルール化しましょう。
子供の前で相手の悪口を言わない
子供は父親も母親も大好きです。よほどのことがない限り、どちらか一方の肩を持とうとは考えません。しかし、子供を味方に付けようと、相手の悪口を吹き込む妻や夫がいます。たとえ、軽口のつもりでも、子供は父親や母親の悪口など聞きたくはありません。
ましてや、両親の間で悪口を言い合うというのは最悪です。ひょっとすると、子供はどちらの親にも嫌悪感を抱くようになるかもしれません。これでは、子供のためを思って家庭内別居を選んだ意味がありません。決して、子供の前で相手の悪口は言わないようにしましょう。
家族で過ごす時間を作る
小さい子供であれば、多くの場合、両親と一緒に過ごす時間を持ちたいと思っているはずです。子供のために家庭内別居を選んだのであれば、週に1度くらいは仲の良い夫婦を演じて、子供と一緒に過ごすという割り切りも必要でしょう。
子供が中学生、高校生であれば、学校行事にはできるだけ夫婦で参加するという方法もあります。特に子供が小さい場合は、子供中心に物事を考え、できるだけ寂しい思いをさせないようにしましょう。
余裕を持って子供と接する
子供のために家庭内別居を選んでも、父親や母親がいつもイライラしていて、家庭内がぎくしゃくしているようでは、子供の影響は避けられません。できるだけ心にゆとりを持ち、余裕を持って子供に接しましょう。心にゆとりがないと、ついつい愚痴を口にしてしまいます。
心にゆとりを持って家庭内別居生活を送るためにも、夫婦の間でルールを決めておくことは大切です。つまらないいざこざを避けるためにも、もめそうな事はあらかじめルール化しておきましょう。
子供のため家庭内別居と別居のどちらを選ぶ?【体験談】
家庭内別居と、どちらかが家を出る別居のどちらを選ぶのか、迷っている人も多いでしょう。しかし、事情は家庭によってそれぞれで、一概にどちらがよいとは言えません。自分にとって、どちらを選ぶのがよいのか、考える必要があります。
実際に家庭内別居や別居をした人が、どのように判断したのか体験談を紹介しますので、参考にしてください。
家庭内別居を選ぶ人
家庭内別居を選ぶ人は、これまでの生活をあまり変えたくない。周囲にあれこれ詮索されたくないと考えていることが多いようです。
・家計の負担を増やしたくない
・世間体や近所の人の目が気になる
・子供を不安にさせたくない
子育てに対する意見が合わず、喧嘩が絶えなくなったとき、妻から離婚を切り出されました。しかし、その頃私は昇格したばかりでどうしても世間体に離婚はしたくありませんでした。
妻をなんとか説得して、家庭内別居を選びました。
別居を選ぶ人
どちらかが家を出て別居することを選ぶ人は、今までの生活を変えたい、離婚に向けて踏み出したいと考えていることが多いようです。
・相手の顔も見たくない、声を聞いただけで嫌になる
・生活費をきっちり分けたい
・子供と一緒に新生活を始めたい
夫の暴言に耐えきれず、離婚を前提とした別居をしたいと伝えました。しかし、夫からはやり直したいからと家庭内での別居を提案されました。同じ家にいるだけでも嫌だったので、夫の意見は聞き入れず、子供を連れてすぐに別居をしました。
家庭内別居で子供への影響を抑えるには、専門家に相談を
家庭内別居を選ぶ人には「家を出る手間が面倒だ」「世間に不仲を知られたくない」などとそれぞれ理由があると思いますが、子供がいる夫婦では、やはり子供への影響が一番気になることでしょう。
しかし、たとえ同居を続けるという選択をしても、両親の不仲は子供に大きな影響を及ぼします。両親が醜く争う姿を子供に見せるくらいなら、子供と家を出るというのも一つの選択です。家庭内別居の子供への影響も理解し、カウンセラーや弁護士など専門家にも相談したうえで、夫婦関係をどうするのか決断しましょう。
遠藤 裕子
子供にとって幸せな家庭は、いつも両親が仲良く、安心できる場所です。家庭内別居を選択するならば、子供の前では仲良くする。せめて、争うことは避けましょう。惜しみなく愛情を注ぎ、両親の愛を実感できるようにしてあげたいものです。
そのためには、自分たちのメンタルを整えることも重要。イライラは子供に伝わります。ぜひ、専門家にご相談ください。感情を吐き出すことでスッキリしますし、効果的な対処方法などのアドバイスがもらえます。
遠藤 裕子
これまで2,000人以上の相談実績を持つ離婚カウンセラー。
過去に年間1,600件の調査を担う探偵事務所にいた経験から、多角的な現状分析、効果的な問題解決方法の提案に定評がある。
自身でも夫の浮気を経験し、夫婦関係を修復したことから、夫婦問題の解決まできめ細かいサポートに注力している。
【保有資格】
日本家族問題相談連盟 離婚カウンセラー
NLPマスタープラクティショナー
LABプロファイルプラクティショナー
ホームカウンセラー