長く結婚生活を送っていると、互いの性格や考え方の違いによってすれ違いも生まれます。話し合いをしたり、本音をぶつけ合ったりして歩み寄れればいいのですが、どうしても折り合えずに互いに不満やストレスが募ることもあります。
こんなとき、旦那に心を閉ざす妻もいます。長く心を閉ざしたままだと、旦那に対して無感情となり、やがて旦那は居ても居なくても、どうでもいい存在になってしまいます。離婚を考えるようにもなるでしょう。どうして妻はこのような気持ちになるのでしょうか。そして、旦那と関係を修復することはできるのでしょうか。
遠藤 裕子
これまで2,000人以上の相談実績を持つ離婚カウンセラー。過去に年間1,600件の調査を担う探偵事務所にいた経験から、多角的な現状分析、効果的な問題解決方法の提案に定評がある。
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自身でも夫の浮気を経験し、夫婦関係を修復したことから、夫婦問題の解決まできめ細かいサポートに注力している。
【保有資格】
- 日本家族問題相談連盟 離婚カウンセラー
- NLPマスタープラクティショナー
- LABプロファイルプラクティショナー
- ホームカウンセラー

妻が旦那に心を閉ざすきっかけとは?
妻が旦那に心を閉ざすきっかけにはいくつかあります。周囲や夫にとってはささいな出来事でも、本人にとっては心にわだかまりとなって残ることがありますし、小さな不満や不平の積み重ねが原因となることもあるでしょう。旦那に心を閉ざすきっかけとなりやすい出来事を紹介します。
裏切り行為をされた
旦那の不倫や浮気は妻にとって最大の裏切り行為で、心の傷は長く残ります。離婚には至らず関係修復を図っても、心から旦那を許すことができず、最後は夫のことを考えるのはやめようと決意する妻もいます。
また、約束を破ったり隠れて借金をしたりすることも妻には裏切り行為と映ります。深酒はやめると約束したのに、その後も泥酔を繰り返すといったケースや、ギャンブルで散財するだけでなく借金までしてお金を注ぎ込んでいた場合などです。このようなとき、信頼関係が失われたと感じ、妻は旦那に心を閉ざすのです。
許せない一言を言われた
夫婦生活の中で、旦那からの心ない一言が、妻の心を深く傷つけることがあります。何気なく発せられた言葉でも、それが妻の尊厳を傷つけたり、人としての価値を否定したりするような内容であれば、妻は強い感情的なダメージを受けます。例えば、以下のような言葉です。
・体調不良で家事が滞っているとき「飯くらい作れないのか?」
・育児に疲れて相談したとき「子育ては母親の仕事だろ」
・仕事と家事の両立で悩んでいるとき「パートなんか辞めればいいじゃないか」
・妊娠中の体調の悪さを訴えたとき「そんなに具合が悪いなら、実家に帰れば?」
・夫婦喧嘩の最中「お前に価値なんてないんだよ」
このような言葉は、たとえ夫が感情的になって言ったことだとしても、妻の心に深い傷を残します。特に疲れているときや弱っているときに投げかけられた言葉は、より一層心に突き刺さり、夫婦関係に修復困難な亀裂を生むきっかけとなるのです。
話し合いが成立しない
妻が旦那に心を閉ざすまでには、さまざまな出来事があったはずです。妻も、最初は愛情を保とうと旦那に頼みごとをしたり、本音で話し合いをしようとしたりしたことでしょう。しかし、旦那が真剣に耳を傾けず、本気で応えてくれないと、妻は旦那に失望していきます。
夫婦は互いに理解しあうものですから、話し合いにならず、相手も自分を理解する気がないと気づくと、妻の旦那への愛情も急速に冷めていきます。相手が自分を理解する気がない以上、自分も相手を理解する必要はないと考え、妻が旦那に心を閉ざすことになっていくのです。
仕事や家事の負担が一方的になったとき
共働き夫婦が増える中、仕事と家事の二重負担に苦しむ妻は少なくありません。特に子育てや親の介護が重なると、その負担は想像を超えるものとなります。夫は仕事を理由に家事を手伝わず、育児にも積極的に関わろうとしないと、妻の心身の疲労は日々蓄積していきます。
話し合いの場を設けても、夫は「仕事が忙しい」の一点張りだと、子どもの送迎や介護の予定調整など、家庭内の調整役も妻に集中します。このような状況が続くと、妻は徐々に諦めの気持ちを抱くようになり、夫婦の会話も減っていきます。生活の中で感じる不公平感は、やがて夫婦関係に深い溝を生んでしまうでしょう。
価値観の違いが表面化したとき
結婚当初は気付かなかった夫婦の価値観の違いは、生活を共にする中で少しずつ表面化してきます。特にお金の使い方や、子どもの教育方針などをめぐって、深刻な対立に発展することも珍しくありません。
話し合いの場を設けても、お互いの考えは平行線をたどるばかりで、夫は妻の意見に耳を傾けようとせず、「自分の考えが正しい」という態度を崩しない状況が続くと、妻は次第に夫に心を閉ざすようになっていきます。
旦那に心を閉ざす妻の心理とは
旦那に心を閉ざすようになった妻は日々、どのような思いで過ごしているのでしょうか。旦那に心を閉ざす妻の心理について、体験談とともに紹介します。

表面上は笑顔でも心は冷めている
旦那の一言や言動が妻を深く傷つけたことに、旦那自身が気付いていない場合、妻は表面上は笑顔で接しながら、心の中は冷え切っていることがあります。こうしたケースの妻は自分の気持ちに気付かない旦那に対して不満を募らせることが多いようです。一方、心のどこかで、自分の気持ちに気付いてほしいという思いもあります。

主人に話しかけられても、適当に相づちを打つだけ。家族の前では笑顔を見せていますが、それは子どもたちを不安にさせたくないから。夫婦の会話は必要最低限で、感情を込めることもありません。表面的な関係を保ちながら、心の中では完全に冷めているんです
旦那には何も期待しない
旦那に期待して、あれこれ働きかけてきた妻ほど、「旦那は期待に応えてくれない」と気付いたときの失望感は大きくなります。失望感はやがて、裏切られたという気持ちに変わり、旦那には何も期待しなくなってしまいます。



何度も裏切られて、もう期待することをやめました。家事も育児も、全て自分でこなすほうが気が楽。夫婦なのに他人のような距離感ですが、期待して傷つくよりはマシです。会話は最低限で、感情も見せない。パートナーとしての信頼関係はとっくに壊れています
旦那が怖くて何も言えない
旦那がモラハラ気質で、暴言や高圧的な態度、乱暴な振る舞いによって妻を抑圧しようとすると、妻は旦那に恐怖心を抱きます。そして、旦那の顔色をうかがいながら生活するようになるのです。
旦那に何も言えなくなった妻は、自分を守り、旦那に抵抗するため、できるだけ夫には関わらないようにしようとするでしょう。やがて、旦那に心を閉ざすようになります。



夫の機嫌が悪いと、どんな言葉が返ってくるか分からなくて怖いんです。些細なことで感情的になられると、心がどんどん萎縮していって…。子どもたちの前でも怒鳴られることがあり、家庭の空気が重たくなります。自分の気持ちを押し殺して、ただ黙って過ごすしかありません
旦那にはもう心を開けない?対処法は
旦那に心を閉ざしている妻の中には、「なぜ、自分は心を閉ざしているのだろう」と悩む人や、「こんな生活から抜け出したい」と思っている人がいます。もし、そうした状況を変えたいと思ったとき、どうすればいいのでしょうか。


根本的な原因と向き合う
旦那に心を閉ざしている状況を変えたいと思ったら、根本的な原因は何かを考えてみましょう。モラハラやDVなどで自分が被害者になっているのか、それとも考え方や性格の違いによる行き違いが原因なのか。
互いの行き違いが原因の場合、本当に責任は旦那側にしかないのでしょうか。相手に自分の価値観や考えを押し付けていなかったか、夫の気持ちを聞いたことがあるのかなど、根本的な原因は何かと過去の自分や夫婦関係に向き合ってみると、きっと見えてくるものがあるはずです。そこに関係修復の鍵が隠されているかもしれません。
夫婦カウンセリングを受ける
心を閉ざしてしまった夫婦関係を改善するために、専門家のカウンセリングを受けることは有効な選択肢の一つです。夫婦カウンセリングでは、中立的な立場の専門家が双方の気持ちに寄り添いながら、関係修復のサポートをしてくれます。
まず、それぞれの不満や悩みを安全な環境で話し合うことができます。感情的になりがちな夫婦間の会話も、カウンセラーが間に入ることで、冷静な話し合いが可能になります。お互いの気持ちを理解し合えない状況も、専門家の視点から適切なアドバイスがもらえるため、新たな気付きが生まれることもあります。
一人で悩みを抱え込まず、専門家に相談することで、夫婦関係を見直すきっかけとなるでしょう。



心を閉ざすのは、これ以上傷付きたくないという思いや不安、恐怖から自分を守る自己防衛本能なんです。しかし、問題の解決には相互理解が不可欠であり、夫と関わらずして成すことは出来ません。
カウンセラーにご相談下さい。先ず、話すことで悲しい感情を手放しましょう。傷付いた気持ちを癒しながら、自分を、そして、相手を理解する、効果的なやり方やコミュニケーションスキルを身に着けて、もう一度、問題解決の為に頑張ってみませんか?
旦那に心を閉ざす妻とは離婚したほうがいい…?
夫婦関係において、妻が心を閉ざすことは深刻な問題です。しかし、すぐに離婚を選択すべきかどうかは、慎重に検討する必要があります。互いの気持ちを理解し合えない状況が続いているからこそ、まずは夫婦で話し合いの機会を持つことが重要です。


別居や離婚の話が関係修復のきっかけになる可能性も
家庭内別居や別居の場合、一度距離を取ることで互いが関係を見つめ直し、関係修復のきっかけとなることがあります。離婚を切り出すことで、相手が態度を改める可能性もあるでしょう。しかし、そういった良い効果ばかりだけでなく、離婚が決定的になることも考えておかなければなりません。
別居や離婚を切り出すときは、相手がどのように受け止めるのかを見極めたうえで、慎重に準備を進めましょう。
心を閉ざす妻と離婚するにはどうする?
旦那に心を閉ざす妻が離婚をするとき、まずは双方の合意による協議離婚を目指すことになります。協議離婚は夫婦の話し合いによる離婚で、双方が納得できれば離婚の理由は問われません。話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
調停では、家庭裁判所の調停員を交えて話し合いをしますが、それでも合意できないときは離婚裁判に進みます。しかし、ここで注意しておきたいのは「旦那に心を閉ざしている」という理由では、離婚裁判を起こすことはできず、夫婦関係が破綻しているという明確な理由が必要となります。
「妻が心を閉ざす」のは、離婚の理由になるのか
旦那が暴力を振るったり、生活を渡さなかったりしているのであれば、DVやモラハラとして裁判を起こす理由になり得ます。浮気や不倫の証拠がある場合も同様です。しかし、「心を閉ざしている」というだけでは、夫婦関係が破綻しているとまでは言えませんし、逆に心を閉ざしていることで妻側が離婚の原因を作っていると見なされることもあります。
「心を閉ざしている」というだけでは離婚の理由にならないので、裁判を起こすには、これとは別に夫婦関係が破綻していることを妻が証明しなければなりません。自分の置かれた状況が、離婚の理由になるかどうかわからないときは弁護士に相談しましょう。
妻の心が閉ざされたと感じたら、まず行動を変えてみよう
妻が心を閉ざしてしまう背景には、長年積み重なった不満や諦め、時には恐れの感情が隠れています。そのため、すぐに離婚を考えるのではなく、まずは関係修復の可能性を探ることが大切です。
具体的なステップとしては
・妻の気持ちを理解しようとする姿勢を見せる
・カウンセリングなどの専門家に相談してみる
・別居の提案があれば、それを関係を見直すチャンスと捉える
表面的な会話しかできない状況が続いているからこそ、夫からの小さな変化が、大きな転機となる可能性があります。一方で、あらゆる努力を試みても関係の改善が見られない場合は、離婚という選択肢も視野に入れる必要があるでしょう。大切なのは、妻の心が閉ざされている状況を、夫婦関係を見直すきっかけとして前向きに捉えることです。
この問題には正解や簡単な解決策はありませんが、夫婦でお互いの気持ちを理解し合おうとする姿勢が、より良い関係への第一歩となるはずです。