【コラム#3】「ママとパパは別々に住むけれど...」子どもに離婚を伝える最適な方法
更新日: 2025年06月03日

子どもにとって親の離婚は人生の大きな転機となります。一般社団法人りむすび代表、共同養育コンサルタントのしばはし聡子さんに、離婚を子どもに伝える際のポイントを伺いました。「いつ、どのように伝えるべきか」「避けるべき言動」など、多くの親が悩むテーマについて、子どもの心を守りながら伝えられるヒントが詰まっています。
子どもをカウンセラー代わりにしてはいけない
離婚を子どもに告げる際に、まず避けるべきことからお伝えすると、「離婚を迷っている段階で子どもに相談する」ことは絶対にやめましょう。子どもをカウンセラー役にしてはいけません。また、「相手の悪口を言う」ことも避けるべきです。
離婚を正式に決めた後で、きちんと伝えることが大切です。子どもに何も話さず、状況を曖昧にしたままにしておくことは、子どもの不安をさらに大きくするだけです。
きちんと伝えるといっても、浮気や金銭面の問題など、離婚の原因について深く言及する必要はありません。例えばこのように伝えるとよいでしょう。
「お父さんとお母さんが一緒に暮らしていると、どうしても話し合いができず仲良く暮らせないので、お別れをすることになったんだ。これはとても悲しいことだけれど、どちらかが別の場所に住むことになっても、いつでも会える状態にするよ。あなたのことを愛していることも変わらないからね」
理想的には両親が同席して伝えることですが、それが難しい場合は、それぞれが「同じような温度感」で、相手を悪く言わずに伝えることが大切です。
子どもを「かわいそうな子」にしない伝え方
伝える際の態度も重要です。悲壮感いっぱいで涙ながらに話しては、子どもは質問もできず、不安が増大します。特に一緒に暮らす親は、子どもにとって頼れる唯一の大人になります。子どもが質問できない・甘えられない状況にしないよう、明るく前向きに伝えることを心がけましょう。
子どもからの質問には正直に答えることも大切です。たとえば、「仲直りする可能性はない?」と聞かれた場合、期待を持たせるような言い方は避け、「これは決まったことで、一緒に暮らすことはできないんだ、ごめんね」と伝えます。
ただし、謝罪は最初の1回程度にとどめてください。必要以上に「かわいそうな思いをさせてごめんね、ごめんね」と繰り返すと、子どもが自分は「かわいそうな子」だと思うようになります。将来的に「私はかわいそうだからできない」という思考パターンにつながり、自身の可能性を狭めてしまうかもしれません。
離婚は一時的に悲しい出来事かもしれませんが、「これが未来に向けての良い選択だ」とポジティブな姿勢を子どもに示していくことが、親としての責任です。
子どもにとっての共同養育のメリット
共同養育は子どもにとって多くのメリットがあります。まず、「自分のせいで離婚したのではない」「両方の親から愛されている」と実感できます。また、父親・母親それぞれの得意なことや性差による違いを学べることも利点です。
一方の親との関係がうまくいかないときに、もう一方の親というセカンドプレイスがあることも子どもにとっては安心材料です。さらに、両親が子どもの生活に関わっていれば、友だちに「親が離婚している」と打ち明ける必要もなく、普通に両親の話ができるというメリットもあります。例えば、「お父さん何してるの?」と聞かれても答えられますし、学校行事などに両親が来れば「いない」ということにはなりません。他の子どもは父親と一緒に暮らしているかどうかは、そんなに気にしないはずですから。
会うことが当たり前になることで、離婚していない家庭と同じような感覚で生活できるのです。
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一般社団法人りむすび:https://www.rimusubi.com/
※この記事は2025年6月3日に公開しました
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