結婚したら、子どもが生まれ夫婦で育てていくものだと思っていたのに、夫に「子どもは欲しくない」と言われて途方に暮れ、悩む妻がいます。子どもを欲しがらない夫の理由や心理のほか、夫を説得する方法、どうしても子どもが欲しいときに離婚できるのかについて説明します。
夫に「子どもは欲しくない」と言われたら…
結婚したら、いずれ夫との間に子どもをもうけ、親子での仲睦まじい生活を送りたいと夢見る妻は多いでしょう。しかし、夫に「子どもは欲しくない」と言われて途方に暮れてしまう妻がいます。「旦那のことは好きなのに、子どもをつくる気がないのであれば離婚するしかないのだろうか」と悩む妻もいるようです。
子どもが欲しい気持ちは年々強くなるばかりです。でも主人は「まだ無理」の一点張り。妊活を始めたいと相談しても、毎回話を変えられてしまいます。夫婦の温度差に悩む日々が続き、離婚が頭をよぎります。
2人目不妊が二年ほど続き、不妊治療を提案すると、旦那さんから「もう子どもは欲しくない」とはっきり打ち明けられました。一人目への愛情が分散したり、経済的な不安があるそうです。
夫が「子どもは欲しくない」と考える理由や心理のほか、夫の説得を試みるときの方法、離婚すべきなのかどうか、などについて説明します。
なぜいらない?子どもが欲しくない夫の心理
夫に子どもをつくる気がないのはなぜなのでしょうか。その理由や心理がわかれば、話し合いによって、夫の気持ちを変えることができるかもしれません。「子どもは欲しくない」と言う夫によくある理由や特徴的な心理を5つ紹介します。
親としての責任を果たせるか自信がない
子どもが生まれると、その子への愛情を注ぎ、適切に養育する義務が生じます。特に多くの男性は、働いて家計を支え、家族を守っていかなければならないという意識を強く持っています。
結婚生活の中で子どもができることで「もっと頑張ろう」という前向きな気持ちになる人がいる一方で、「果たしてこの先、家族を支えていけるだろうか」と不安を感じる男性もいるのです。
良好な親子関係を築けるか心配
良好な親子関係を築くことに不安を覚える夫もいます。子どもの頃、親子の関係が良くなく、どのように子どもと接すればいいのかわからないという人がいる一方で、自分の親のように、うまく子どもを育てる自信がないという人もいます。特に人付き合いが苦手な人に、こうした傾向があるようです。
親子関係がうまくいかなければ、子どもにもつらい思いをさせるだけでなく、その後の結婚生活や夫婦関係にも影響を及ぼす可能性があります。そうした不安を抱くと「子どもは欲しくない」という気持ちになってしまうようです。
子どもが好きではない
夫婦間で将来の話をする中で、夫から「子どもが苦手だ」という本音を打ち明けられるケースがあります。子どもの姿を見て、「かわいい」と感じる男性がいる一方で、「騒がしい」と感じてしまう男性もいるのです。
子どもが生まれ、子育てをする中でこうし感情が変化する可能性はありますが、無理に育児を強いることで結婚生活に歪みが生じる場合もあるでしょう。愛情を持って子育てに向き合えないのではという不安や、幸せな家族を築けるかという悩みは、決して珍しいものではないようです。
自分の生活を犠牲にしたくない
子どもができると、どうしても生活は子ども中心になります。それまでのように、夫も自由に趣味に打ち込んだり、お小遣いで飲み歩いたりはできなくなるでしょう。子どもができると、そうした自由で、自分中心の生活ができなくなるため、「子どものために自分の生活を犠牲にしたくない」と考える夫もいます。
また、夫が本当に妻のことを愛していて、妻と2人きりの生活に満足している場合も、妻が子どもを産むと、子どもに妻を奪われるのではないかと考え、「子どもは欲しくない」という気持ちになることがあります。
経済的に不安がある
経済的な理由から、子どもは欲しくないと考える夫もいます。最近は、子育て支援策が充実してきましたが、そうした支援で余裕ができた分、さらに子どもにより良い教育を受けさせたいと子どもにかけるお金も増えていっているという面もあります。
子どもを私立の学校に通わせると、教育費に数千万円かかるとも言われます。そうした現在の教育事情を考えると、「貧乏では子どもがかわいそうだ」「お金がかかり過ぎて、子どもを育てられない」と考える人もいます。
夫がこれ以上子どもはいらないと感じる理由
結婚生活の中で1人目の子育てを経験した後、妻が「2人目が欲しい」と妊活を望んでも、夫側が難色を示すケースがあります。その背景には、いくつかの現実的な悩みが隠れています。
経済的な負担に耐えられそうにない
子どもの教育費や生活費など、1人目の育児で家計への影響を実感した夫が、「2人目の子育てまで家計が耐えられるだろうか」という不安を抱える場合があります。
また、妻の仕事復帰が遅れることで、予定していた生活設計が狂ってしまうことへの心配もあるようです。
1人目の育児で手一杯だと感じている
1人目の子育てを通じて、仕事と家事・育児の両立の難しさを痛感した夫が、「これ以上は対応しきれない」という気持ちが芽生えることもあります。
子どもを持ってみて初めて、こうした育児の大変さを知り、2人目、3人目の子どもを持つのは難しいと考える夫がいます。子育てで、仕事に影響が出ることを懸念している場合もあるでしょう。
妻の体の負担や出産のリスクを心配している
出産に伴うリスクや妻の体調を心配する気持ちから、慎重になるケースもあります。特に1人目の出産で何らかのトラブルを経験した場合や、妻の年齢的なリスクを考慮して、夫が2人目以降の妊活に消極的になり、「もう子どもはいらない」と考えることもあるようです。
子どもが欲しくない夫を説得するには
子どもをつくる気がない夫に対し、妻は子どもを産みたいと考えている場合、子どもを授かるには夫を説得するしか方法はありません。夫の気持ちを変えられそうな方法を4つ紹介します。夫の反応などを見ながら試してみてください。
夫の話を聞き、気持ちを素直に伝える
夫を説得するには、なぜ子どもが欲しくないのか、理由や本人の気持ちを聞くことが第一です。夫の本心を知らなければ、夫の不安や懸念を取り除くことができません。話を聞くときは、決して感情的にならず、最後まで聞きましょう。途中で口を挟んだり、頭から相手の言い分を否定してしまうと、話し合いにつながりません。
相手の話を聞いたら、今度は冷静に自分の気持ちを伝えます。「自分は子どもを産みたい」というだけでなく、相手の不安や懸念を取り除く提案も入れると、夫も安心するかもしれません。ただし、自分の意見を押し付けてはいけません。一度の話し合いだけで結論が出ることは少ないので、相手が応じてくれるようなら、何回か話し合いをしてみましょう。
将来設計について話し合う
子どもを産む、産まないで夫婦の意見が分かれるのは、互いに人生設計を共有していないためです。子ども以外のことも含めて、マイホームの購入や老後の設計など二人でどのような人生を歩んでいくのかを話し合いましょう。
当然、子どもがいるのか、いないのかでマイホームや老後の話も変わっていきます。将来設計を考える中で、自然に子どもについての話もできるはずです。二人で将来のビジョンを話し合うことで、夫も「子どもがいる生活も悪くないな」と思ってくれるかもしれません。
実際の子育て家庭との交流する
夫が「子どもは無理」と感じているのは、具体的な家族のイメージが湧いていないことも。実際の子育て家庭を訪問してみるのも効果的かもしれません。
友人や親戚の赤ちゃんとの触れ合いを通じて、新しい家族の形への不安が和らぐケースもあります。
映画やドラマを通じた家族像の共有
家族をテーマにした作品を一緒に楽しむのも、さりげないアプローチの一つです。幸せな結婚生活の中での子育ての様子に触れることで、夫婦で新しい人生について考えるきっかけになることも。ただし、強制的に見せようとすると逆効果になる可能性があるため、自然な形で共有する時間を持つことが大切です。
夫が子どもをつくる気がないことを理由に離婚できる?
夫が「子どもはほしくない」と言って妊娠に協力してくれない場合、夫が子どもをつくる気がないことを理由に離婚できるのでしょうか?
たとえば「子どもをつくる気がないのなら離婚してください」という妻に、夫も「そんなに子どもがほしいのなら、離婚も仕方がない」と言えば、双方の合意で離婚は可能です。夫が離婚に応じない場合、妻は家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停は裁判所を介した離婚の話し合いですが、そこでも夫に拒否されると、後は裁判所に離婚を求める裁判を起こすことになります。
裁判で離婚が認められれば、相手の合意がなくても離婚できますが、そう簡単ではありません。離婚裁判で「夫に子どもをつくる気がない」という主張が、離婚の理由として認められるのかどうかを説明します。
セックスレスは離婚の理由になる
もし、夫が「子どもはほしくない」と言って、セックスも拒否している場合は、離婚が認められる可能性があります。離婚裁判を起こすには、民法に定められた離婚事由が必要になります。離婚事由には不倫や失踪など大きく分けて5つありますが、セックスレスはそのうちの「婚姻を継続し難い重大な事由がある」に該当するとされます。
実際、セックスレスを理由に離婚が認められた判例もあり、「子どもを望んでいるのに夫がセックスに応じず、夫婦仲も冷え切っており、関係修復も難しい」と訴えれば、離婚が認められる可能性は十分にあります。
場合によっては離婚が認められることも
「子どもが欲しくない」という夫との間でセックスはあるものの、必ず避妊して妊娠に協力してくれないというケースはどうでしょうか。こうしたケースについては、法的に争われたケースがほとんどなく、専門家でも判断が分かれるというのが実情です。
おそらく、裁判になれば「合理的な理由がなく避妊を強要して子どもをつくることを拒否する」という行為が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるのかどうかが争点となり、そこに個別の事情が加味されて、判断されると思われます。
難しい裁判になると予想されますが、ほかにも不倫やDV、過度な借金といった離婚の理由があれば、事情によっては離婚が認められるかもしれません。真剣に離婚を検討している場合は、弁護士に相談しましょう。
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子どもがほしくない夫とは離婚すべきか
結婚生活の中で、話し合いを重ねても夫の気持ちが変わらないケースもあります。「このまま子どもを諦めるべきか、それとも離婚を選択するべきか」という悩みを抱える妻は少なくありません。
不妊治療や妊活を諦め、夫の気持ちを受け入れて新しい人生を歩み始めた夫婦もいます。「子どもはいなくても、この人との結婚生活に幸せを感じられる」と、価値観を柔軟に変えていった例も。仕事や趣味を通じて、二人だからこそできる生活を築いているカップルも増えています。
また、「子どもが欲しい」という理由で離婚したとしても、新しい相手と必ずしも望む結果を得られるとは限りません。
二人の話し合いでは解決しない場合、夫婦カウンセラーなどの第三者を交えた話し合いの場を持つとよいかもしれません。
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夫婦で前向きな解決策を見つけるために
子どもを望む気持ちと夫の不安な気持ち、双方の思いに向き合いながら結婚生活を続けていくのは簡単ではありません。時には専門家のサポートを得ることで、新しい解決策が見えてくることもあります。夫婦関係や妊活の悩みに詳しいカウンセラーに相談するのも一つの選択肢です。
また、離婚も視野に入れている場合は、まず夫婦で十分な話し合いの時間を持ち、それでも解決が難しい場合は法律の専門家に相談することで、自分たちの将来について冷静に考えることができるでしょう。大切なのは、お互いの気持ちを尊重しながら、夫婦にとってよりよい人生を探っていくことです。