
オンライン離婚調停を検討している人の中には、「どれくらいの期間がかかるのか」「対面より早く終わるのか」と気になっている人もいるでしょう。
ここでいうオンライン離婚調停は、正式な手続きの名称ではなく、離婚調停をオンラインで行うことの総称です。家庭裁判所のウェブ会議を利用した調停や、民間ADRによるオンライン調停などを含めて使われることがあります。
家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議の利用が認められれば、家庭裁判所まで出向く負担を減らせることがあります。ただ、オンラインで参加できるからといって、調停そのものが短期間で終わるわけではありません。
この記事では、主に家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議を利用する場合を中心に、オンライン離婚調停の期間の目安や長引きやすいケース、早く進めるためにできる準備について解説します。
オンライン離婚調停の期間はどれくらい?

オンライン離婚調停の期間を考えるときは、まず通常の離婚調停と同じように、数ヶ月から1年程度かかる可能性があると見ておくとよいでしょう。
裁判所の司法統計年報では、ウェブ会議を利用した離婚調停だけを切り出した期間ではなく、離婚などを含む「婚姻関係事件」の審理期間が公表されています。令和6年の司法統計年報によると、婚姻関係事件58,429件のうち、6ヶ月以内に終わったものは33,721件、1年以内まで含めると50,925件です。つまり、婚姻関係事件の多くは1年以内に終わっている一方で、1年を超えるものもあります。
ただ、この数字は離婚調停だけの平均期間ではなく、婚姻関係に関する事件全体の統計です。そのため、実際のオンライン離婚調停にかかる期間は個別の事情によって変わります。
家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議の利用が認められた場合でも、調停で話し合う内容そのものが簡単になるわけではありません。親権、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料などについて意見が分かれている場合は、何度か期日を重ねることがあります。
そのため、オンライン離婚調停の期間は「オンラインだから短くなる」と考えるよりも、争点の多さや資料の準備状況、相手方との合意のしやすさによって変わると理解しておくことが大切です。
オンライン離婚調停が長引くケース

オンラインで離婚調停を行う場合でも、話し合う内容によっては期間が長くなることがあります。
主なケースをまとめると次のとおりです。
- 離婚条件について相手方と意見が分かれている
- 親権・養育費・親子交流の話し合いが必要になる
- 財産分与や年金分割の資料確認に時間がかかる
- 必要書類や主張の整理が不十分なまま期日を迎える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
離婚条件について相手方と意見が分かれている
オンライン離婚調停が長引きやすいケースとして多いのは、離婚条件について相手方と意見が大きく分かれている場合です。
たとえば、一方は離婚を希望していても、もう一方が離婚に応じていない場合は、まず離婚そのものについて話し合う必要があります。離婚するかどうかで意見が分かれていると、養育費や財産分与などの具体的な条件に進むまでに時間がかかることがあります。
また、離婚には同意していても、条件面で折り合いがつかないこともあります。金額や支払方法、子どもとの関わり方など、細かい部分で意見が分かれると、調停期日を重ねて調整していく流れになりやすいです。
親権・養育費・親子交流の話し合いが必要になる
未成年の子どもがいる場合は、親権、養育費、親子交流などについて話し合うことになります。
これらは、離婚後の生活に大きく関わる内容です。そのため、夫婦だけの都合ではなく、子どもの生活や気持ち、これまでの監護状況なども考えながら進める必要があります。
たとえば、どちらが親権者になるのか、養育費をいくらにするのか、親子交流をどのくらいの頻度で行うのかなどで意見が分かれると、すぐに結論が出ないことがあります。
財産分与や年金分割の資料確認に時間がかかる
財産分与や年金分割について話し合う場合も、離婚調停の期間が長くなることがあります。
財産分与では、預貯金、不動産、保険、車、退職金、ローンなどを確認しますが、夫婦の財産状況が複雑な場合や、どの財産を分けるのかで意見が合わない場合は、資料をそろえたり内容を確認したりする時間が必要です。
年金分割についても、必要な情報を確認したうえで話し合うことになります。必要書類が不足していると、その場で判断できず、次回期日に持ち越されることもあります。
必要書類や主張の整理が不十分なまま期日を迎える
必要書類や自分の主張が整理できていないと、調停の進行に時間がかかることがあります。
調停では、調停委員に自分の希望や事情を伝えながら相手方との合意を目指します。そのときに、何を求めているのか、なぜその条件を希望するのかが曖昧だと、話し合いの焦点が定まりにくくなってしまいます。
たとえば、養育費を求めたい場合でも、子どもの生活費や収入状況に関する資料が手元にないと具体的な話に進みにくいことがあります。財産分与でも、どの財産があるのか整理できていなければ確認作業に時間がかかるでしょう。
オンライン離婚調停を早く進めるためにできる準備

オンライン離婚調停を長引かせず効率よく進めるためには、事前の準備が大切です。
次のような点をチェックしながら準備しておきましょう。
- 自分が希望する離婚条件を整理する
- 譲れる点と譲れない点を分ける
- 収入・財産・子どもに関する資料を早めにそろえる
- オンライン参加の接続環境を事前に確認する
- 不安が大きい場合は弁護士に相談する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
希望する離婚条件を整理する
まずは、自分が希望する離婚条件を整理しておきましょう。
離婚するかどうかだけでなく、親権、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料、婚姻費用など、話し合いたい内容を書き出しておくと確認しやすくなります。
このとき、「何を希望しているのか」だけでなく「なぜその条件を希望するのか」も簡単にまとめておくと、調停委員に説明しやすいでしょう。
譲れる点と譲れない点を分けておく
離婚調停を早く進めたい場合は、譲れる点と譲れない点を分けて考えておくことも大切です。
すべての条件について自分の希望を通そうとすると、相手方との調整が難しくなることがあります。逆に、何でも譲ってしまうと、離婚後の生活に影響が出るかもしれません。
たとえば、養育費の金額は慎重に考える必要がありますが、支払日や振込方法などは調整できる可能性があります。また、親子交流についても、頻度は話し合いが必要でも、連絡方法や時間帯は歩み寄れることもあるでしょう。
あらかじめ優先順位を整理しておくと、調停の場で判断しやすくなります。
収入・財産・子どもに関する資料を早めにそろえる
離婚調停では、話し合う内容によって資料が必要になることがあります。
養育費や婚姻費用について話し合う場合は、収入に関する資料が重要です。財産分与では、預貯金、不動産、保険、ローンなどに関する資料を確認することがあります。子どもの生活状況について説明したい場合は、生活費や学費、医療、習い事などの情報を整理しておくとよいでしょう。
資料がそろっていないと、確認のために次回期日へ持ち越されることがあります。オンライン離婚調停をスムーズに進めるためにも、必要になりそうな資料は早めに準備しておきましょう。
オンライン参加の接続環境を事前に確認する
家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議を利用する場合は、インターネット環境や端末の準備も大切です。
当日に音声が聞こえにくかったり、画面が途切れたりすると、話し合いに集中しにくくなってしまいます。スマートフォン、パソコン、タブレットのどれを使うのか、通信環境は安定しているか、マイクやカメラが使えるかを事前に確認しておきましょう。
また、周囲に会話を聞かれない場所を確保することも必要です。当日、落ち着いて話せる環境を整えておきましょう。
不安が大きい場合は弁護士に相談する
離婚条件が複雑な場合や、相手方との対立が強い場合は、早めに弁護士へ相談することも選択肢になります。
弁護士に相談することで、自分の希望が法律的にどのように整理できるのか、どの資料を準備しておくとよいかなどを確認しやすくなります。財産分与や親権、養育費、慰謝料などで迷っている場合も、調停で何を主張するべきかを整理しやすくなるでしょう。
また、DV・モラハラの事情などがある場合、安全面を配慮する必要がありますが、家庭裁判所で相手方と直接遭遇することが心配な場合は、オンライン離婚調停を検討することはありえます。
不安が大きいときは一人で抱え込まず、専門家に相談することも検討してみましょう。
オンライン離婚調停の期間に関するよくある質問
ここでは、オンライン離婚調停の期間に関するよくある質問を整理します。
- オンライン離婚調停は何回くらいで終わりますか?
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オンライン離婚調停が何回で終わるかは、夫婦の状況によって異なります。
離婚することや主な条件について大きな争いがなければ、比較的少ない回数で終わることもあります。反対に、親権、養育費、財産分与、親子交流などで意見が分かれている場合は、複数回の期日が必要になることがあります。
オンラインか対面かよりも、話し合う内容の多さや相手方との意見の差が、回数に影響しやすいです。
- オンライン離婚調停は対面より早く終わりますか?
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オンライン離婚調停だからといって、必ず対面より早く終わるわけではありません。
家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議を利用できれば、移動時間や家庭裁判所へ行く負担を減らせる可能性があります。ただ、調停の期間は、離婚条件の内容、資料の準備状況、相手方との合意のしやすさ、期日調整などによって変わります。
そのため、ウェブ会議で参加できる場合でも、調停そのものの期間が短くなるとは限りません。
- 1回目の期日までにどれくらいかかりますか?
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1回目の期日までの期間は、申立て先の家庭裁判所や事案の状況によって異なります。
申立て後、家庭裁判所で手続きが進み、期日の調整や相手方への連絡が行われます。裁判所や当事者の予定によっては、1回目の期日までに時間がかかることもあります。
具体的な時期は一律ではないため、申立て後の案内や家庭裁判所からの連絡を確認しましょう。
- 調停が成立した後はすぐ離婚できますか?
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離婚調停が成立した場合でも、市区町村役場への届出は必要です。
裁判所は、離婚の調停が成立した場合、申立人には調停成立の日から10日以内に市区町村役場へ離婚の届出をする義務があると案内しています。届出には、調停調書謄本の提出を求められることがあります。
必要書類は自治体によって扱いが異なる場合もあるため、届出先の役場で確認しておくと安心です。
オンライン離婚調停の期間を見据えて準備を進めましょう!

ここまで、オンライン離婚調停の期間の目安や、長引きやすいケース、早く進めるためにできる準備について解説しました。
この記事のポイントをまとめると次のとおりです。
- オンライン離婚調停は正式な手続き名ではなく、離婚調停をオンラインで行うことの総称
- 家庭裁判所の離婚調停でウェブ会議を利用できる場合でも、必ず短期間で終わるとは限らない
- 期間は、離婚条件や相手方との意見の差、資料準備、期日調整などで変わる
- 親権、養育費、親子交流、財産分与などの争点が多いと長引くことがある
- 希望条件や譲れない点を整理しておくと、調停で説明しやすくなる
- 必要書類やオンライン参加の環境は、期日前に確認しておくことが大切
オンライン離婚調停は、事情によって自宅などから参加できる場合がある一方で、話し合いの内容そのものが簡単になるわけではありません。
期間がどれくらいかかるか不安な場合は、自分の争点や必要な準備を整理したうえで、申立先の家庭裁判所の案内を確認しましょう。離婚条件で迷うことが多い場合は、早めに弁護士へ相談しておくと、今後の見通しを立てやすくなります。
