「毎日お酒を飲む旦那が心配」だと嘆く妻がいます。ほろ酔い気分になる程度ならいいのですが、泥酔して他人に迷惑をかけてしまう人もいます。アルコール依存症も心配で、「こんな旦那とは離婚したい」という妻もいるでしょう。毎日お酒を飲む夫の心理や対処法を紹介します。
毎日お酒を飲む旦那が心配…依存症?
仕事帰りにお酒を飲んで帰るのが楽しみだという男性は少なくありません。しかし、中には酒を飲むたびに泥酔して、家に帰って来れなくなるなど周囲に迷惑をかける人もいて、そんな夫を持った妻は悩みのタネが尽きません。「もうお酒はやめてほしい」と思っている妻も多いでしょう。
結婚生活10年、子供2人(小3、2歳歳)、旦那の酒癖が悪いのに困っています。
結婚当初から、時々ありましたが、
お酒をたくさん飲んだ後は、私や子供などに攻撃的になり、まともな話し合いとは程遠く、
最近では手までは出ませんが、口での攻撃がひどいです。
普通に話ができなくなり、
相手をやっつけるべく攻撃的な話になり、自分の仕事が大変な中いろいろやっているのに…などと何度も同じことをしつこく攻めます。
しらふの時には、「やってあげるから休みなさい」と言って家事などしてくれますが、そういうことまで、オレに全部やらせて君は何もしないなど、話の本筋から離れた不満などを何度も言ってきます。
「酔っ払っている状況で話は無理」と言っても、
「ぜんぜん酔っ払ってない、そういうことを言ってるんじゃない」など、認めません。
泥酔して帰ってくる旦那が許せません。
ただ酔っ払って寝るくらいなら
誰にも迷惑かけてないのでいいのですが
私の旦那は酔ってる限度を遥かに超えています。
普段から会社の付き合いが多く週に1.2回は接待や飲み会があります。今日飲み会があるという連絡を最後に、毎回夜中3時4時に帰宅。ひどい時は朝帰り。連絡なんてありません。もう諦めています。
先日は朝になっても帰ってこず連絡もつかないと思ったら駅のホームで寝ていたと電話。
その際もかなり怒ったのですがその一週間後にまた夜中に帰ってきて、お風呂の空の湯船でシャワーを浴びながら爆睡。2時間ほど出てきませんでした。翌朝問い詰めると、なにも覚えていないとのこと。仕事着はゲロで汚れていたのですがそれも記憶にない、と。
ほんとにいい歳して情けないです。
お酒を飲んだ日はお風呂に入るなと何回も言っているのにききません。
呆れてなにも言えません。基本放置してます。
お酒を飲んでたびたび問題を起こす夫は、アルコール依存症かもしれません。どうすればお酒の量を減らすことができ、問題行動をなくせるのでしょうか。また、妻はそんな夫と離婚できるのでしょうか。妻や周囲に迷惑をかけながらも、毎日お酒を飲む夫への対処法について説明します。
毎日お酒を飲む人の割合は?
最近はお酒を飲まない人も増えてきたと言われますが、会社帰りにお酒を飲むサラリーマンはまだまだ多いようです。厚生労働省が2019年に行った「国民健康・栄養調査」によると、毎日お酒を飲むという男性は、全体の30.2%。年齢別にみると、年齢が高くなるほど割合が高くなる傾向があります。
最も割合が高かったのが60代の41.5%、次いで70代の35.2%でした。もっとも低いのは20代の6.4%、次いで30代の14.6%。40代~50代は30%弱で、年代が下がるほど、お酒を飲む回数は少ないようです。若い夫婦であれば「旦那が毎日お酒を飲む」と悩む妻も少ないのではないでしょうか。
リスクの高い飲み方をしている男性は15%
しかし、お酒は回数だけでなく、飲み方も問題です。厚労省はがんや高血圧、脳出血、動脈硬化などの生活習慣病のリスクを高めるとして、男性の場合、1日当たりのアルコール摂取量を40g未満にすべきだとしています。毎日飲んでいなくても、1回飲んだときのアルコール摂取量が多ければ、健康を害してしまいます。
国民健康・栄養調査によると、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている男性は14.9%。最も割合が高かったのは、40代の21.0%で、次いで50代の19.9%と、仕事で責任のある立場に就く年代で2割近いことが分かりました。仕事のストレスが飲酒量にも関係しているのかもしれません。
出典: 厚生労働省
毎日お酒を飲む旦那はアルコール依存症?
お酒は適度に飲めば、気分も良くなり、食事も進んで仲間と楽しく会話もできます。しかし、飲みすぎて健康を害する恐れがあり、飲みすぎには注意が必要です。また、妻にとって気になるのは、アルコール依存症ではないでしょうか。アルコール依存症になると、お酒を飲む量やタイミングを自分でコントロールできなくなります。
アルコール依存症が重症になると、自分の感情もコントロールできなくなり、幻覚を見ることもあります。周囲の人たちとトラブルを起こすようになり、家族にも迷惑をかけます。「旦那はアルコール依存症ではないか」と考えたときのために、アルコール依存症の特徴や、セルフチェックの方法などを紹介します。
アルコール依存症とは
厚生労働省のホームページによると、アルコール依存症は「大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態」とされています。アルコールの影響は、精神面にも身体面にも及び、仕事があるのにお酒を飲んでしまったり、飲酒運転をしてしまったりと生活面にも支障が出てきます。
アルコール依存症の恐ろしいのは、体内からアルコールが抜けたときに最も症状がひどくなることで、これを「禁断症状」と言います。禁断症状は、手足のふるえ、多量の発汗、吐き気、イライラ、幻覚、幻聴などが特徴です。こうした不快な症状を抑えるために、再びお酒を飲んでしまい、飲酒から抜け出せなくなってしまいます。これは薬物中毒と変わりません。
また、アルコール依存症の人には自分の病気を認めたがらないという特徴もあります。このため、家族が病院に行くよう勧めても嫌がり、症状が悪化してしまうことも少なくありません。セルフチェックなどで、本人に自覚を促すことも大切です。
アルコール依存症の判断基準とは
アルコール依存症のセルフチェックにはいくつかの方法があります。その中で、米・ジョーンズ・ポプキンズ大病院が公開している自己診断法を紹介します。3つ以上、当てはまるとアルコール依存症の危険性があるとのことですから、お酒の量を減らす必要があります。4つ以上当てはまれば、病院で診察を受けたほうがいいでしょう。
1.酒を飲んで仕事をサボることがある
2.飲んで家庭に波風が立つことがある
3.飲んで人から不評をかう
4.飲んだ後で深く後悔する
5.毎日、同じ時間に飲みたくなる
6.飲まないと眠れない
7.翌朝また飲みたくなる
8.外で一人でも飲む
9.飲むと家庭のことに無関心になる
10.酒のため経済的危機に陥ったことがある
11.おじけを除くために飲む
12.自信をつけるために飲む
13.不安からのがれるために飲む
14.飲むと友人を見下したくなる
15.飲むと仕事の能率がひどく下がる
16.飲むと向上心がなくなってしまう
17.飲んで完全に記憶を失ったことがある
18.飲んで仕事上のミスをしたことがある
19.飲んで医者にかかったことがある
20.酒のため病院に入院したことがある。
(ジョンズ・ホプキンス大学病院法より)
3項目該当:アルコール依存症の危険あり
4項目以上該当:アルコール依存症の可能性がきわめて高い
毎日お酒を飲みたくなるのはなぜ?旦那の心理とは?
毎日のようにお酒に酔って帰ってきたり、飲むと必ず泥酔したりする夫に「どうして旦那は、こうなると分かっていてお酒を飲むのだろう」と不思議に思う妻もいるでしょう。だらしなく酔った姿にうざいと感じている妻もいるはずです。どうして、夫がお酒を飲みすぎてしまうのか、お酒をやめられない理由や心理について説明します。
楽しい記憶が残りやすい
米ペンシルベニア大学の研究によると、お酒は脳に作用し強力な記憶を残すそうです。このため、お酒を飲んだ場所や光景、におい、音などが刺激的な記憶となり、「またお酒を飲みたい」という欲求を引き起こすのだとか。要するに、お酒を飲んだ時の記憶は「楽しく幸せなひと時」として強烈にインプットされ、その誘惑からなかなか逃れられないということです。
まさに、ギャンブルで勝ったときの興奮が忘れられないギャンブル中毒や、薬物を摂取したときの解放感や幸福感を何度でも味わいたくなる薬物中毒と、変わりありません。このため、お酒の誘惑に一度はまってしまうと、強い意志がなければ、なかなか抜け出せないのです。
ストレスを発散したい
お酒を飲むと、気分が良くなり、ストレス解消にもなるとも言われます。これは、アルコールが、理性を働かせる大脳新皮質の働きを鈍くするのが理由だそうです。それによって、感情や食欲、性欲などの本能的な部分を司る部分の働きが活発になり、気分が高まります。 また、お酒の香りには、リラックス効果や気分を落ち着かせる効果があるとされます。
このため、人はストレスを発散するためにお酒を飲むのですが、その効果は強力で、お酒でストレスを解消することを覚えると、脳は自然とお酒を求めるようになってしまいます。
コミュニケーションを円滑にしたい
お酒にはコミュニケーションツールとして、昔から大きな役割を果たしてきました。西洋のパーティーではお酒が欠かせませんし、日本でも花見や宴会など、人が大勢集まる場所にはお酒は欠かせません。これは、お酒を飲むと気分が良くなり緊張もほぐれるので、周囲との会話も弾むからでしょう。
サラリーマンが親睦や打ち合わせと称して、お酒を飲むのも、腹を割って本音で話そうという狙いがあります。お酒の力を借りて商談がうまく進むこともあるでしょう。ただ、お酒を飲みすぎる人は、やがて仕事のためにお酒を飲むのではなく、仕事がお酒を飲む口実になってしまいます。
お酒を飲みたい気持ちを抑えられない
お酒を飲みたくなる理由で、やはり気をつけなくてはならないのは「お酒を飲みたいという気持ちを抑えられない」というものです。こうした人は、アルコール中毒になっている危険性があります。既にお酒の量を自分でコントロールできないという状態なのですから、放っておけばエスカレートしていくだけです。
夫の様子を見ていて「お酒を飲む気持ちが抑えられない」という様子が見られたり、妻がお酒を飲まないように注意しても隠れて飲んでいたりするようであれば、早く病院に行くよう夫を説得したほうがいいでしょう。
毎日お酒を飲む旦那への対処法
毎日お酒を飲み、周囲に迷惑をかけるような飲み方をする夫にはどのように対処すればいいのでしょうか。アルコール中毒に近い状態になっていたとしても、妻としては簡単に見捨てることはできません。お酒の量を減らしたり、お酒をやめたりして夫に健康的な生活を取り戻してもらうための対応策を解説します。
アルコール依存症について知ってもらう
毎日お酒を飲んだり、お酒の量が多すぎたりする夫には、まずアルコール依存症にならないように気を付けなくてはなりません。しかし、家族に「もうお酒の量を減らすべきよ」「飲みすぎるのはやめてほしい」と言われて、すぐにお酒の量を減らせる人は滅多にいません。そこで減らせるのなら、そもそも依存症を心配する必要もないでしょう。
アルコール依存症の治療も最初の関門は、本人に自覚させることだといわれます。本人の自覚がなければ、治療はしないという方針の医師も少なくありません。本人に自覚してもらうには、お酒の飲みすぎや依存症の恐ろしさを知ってもらうしかありません。繰り返し、お酒の害を説き、「このまま飲み続けていると大変なことになる」という気持ちを持ってもらいましょう。
医療機関で診察を受ける
お酒を飲みすぎて、しばしばトラブルを起こす夫を見捨てることなく、「家族の力でなんとかできないか」と考える妻もいることでしょう。しかし、残念ながらアルコール依存症を、家族の力で治すことはできません。本人の自覚と、適切な病院での治療が必要です。アルコール依存症は完治が難しい病気だと考えましょう。
病院での治療に加え、断酒会などに参加して、同じ悩みや苦しみを持つ人と交流するのも効果的です。断酒会には本人だけでなく、家族も参加しています。アルコール依存症患者の家族としての悩みも聞いてもらえます。
家族も対処の方法を学ぶ
アルコール依存症の克服には、家族の協力も欠かせません。ただ。協力というのは、無理にお酒をやめさせようとしたり、本人のトラブルの尻拭いをすることではありません。無理にお酒をやめさせようとすれば、夫は反発してかえって飲酒に走ります。また、トラブルの尻拭いをすれば、本人はいつまでたっても自分の行動に責任を持とうとはしません。
アルコール依存症になると、数年の治療が必要になります。決して焦ってお酒を減らしたりやめさせようしたりしてはいけませんし、一定の距離を置いて見守る態度も必要です。家族として、どのように接したらいいのかを、妻も学び、夫の気持ちを理解しましょう。
旦那のお酒の飲み過ぎを理由に離婚できる?
「毎日お酒を飲んで、家族に迷惑をかけてばかりの旦那とは離婚したい」と考えている妻もいるでしょう。果たして「毎日お酒を飲む」「お酒を飲みすぎる」という理由で離婚できるのでしょうか。離婚できるケースや、離婚を検討する際のポイントなどについて解説します。
夫と合意できれば離婚も可能
お酒を飲みすぎる夫と離婚したいと思ったとき、話し合いの結果、夫も離婚に同意してくれれば離婚は可能です。お酒でしばしば家族に迷惑をかけていることを反省し、夫も「離婚は仕方がない」と合意してくれるかもしれません。このように話し合いで離婚することを協議離婚といいます。離婚で最も多いのが協議離婚で、離婚の理由を問われることもありません。
ただ、夫が「離婚はしたくない。お酒はやめるので別れたくない」などと言った場合は、すぐには離婚できません。また、離婚には応じるものの、財産分与などの条件をめぐって話し合いがつかないこともあります。そのときは離婚を求めて話し合いを続けるか、法的な手続きに基づいて離婚を求めていくしかありません。
離婚の合意を得られないときは調停という手も
夫が離婚に反対したり、離婚には同意してもらえても条件で折り合えなかったりした場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。調停とは裁判所の調停委員を介した話し合いで、調停委員が双方の意見を聞き、言い分を整理して合意を目指します。しかし、合意できる見込みがないときは調停不調として打ち切られてしまいます。
調停が打ち切られると、再び夫との間で協議離婚を目指して話し合うか、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を求めることになります。裁判で認められれば、相手の合意がなくても離婚が可能です。
事情によっては離婚できることも
離婚裁判を起こすには条件があり、離婚調停の後にしか起こせません。また、民法で定められた「離婚事由」がなければ、裁判離婚を認める判決を得ることができないことになっています。離婚事由とは、次の5つの事情です。
・配偶者が浮気や不倫(不貞行為)をした
・一方的な別居や生活費の未払いなど配偶者の悪意で遺棄された(悪意の遺棄)
・配偶者の生死が不明で3年以上経つ
・配偶者が重症の精神病で治る見込みがない
・婚姻を継続しがたい重大な事由がある
ただ、「旦那がお酒を飲みすぎる」という理由は、離婚事由には含まれません。「旦那がアルコール依存症だ」という場合も、それだけでは離婚の理由になるとは認められないでしょう。裁判で離婚が認められるには、それ以外の事情や理由が必要になります。
たとえば、酔うと暴力を振るうとか、子供を虐待する、飲酒代に生活費まで注ぎ込んで経済的に苦しい、アルコールに依存して仕事も家事もせずにいずれも妻に任せっきり(無為徒食)といったケースであれば、「悪意の遺棄」「婚姻を継続しがたい重大な事由がある」に当てはまる可能性があります。それによって夫婦関係が修復困難だと判断されれば離婚も認められるでしょう。
お酒を飲み過ぎる旦那に悩んだら専門家に相談を
夫の酒癖が悪く、飲むたびにトラブルを起こしたり、家計にも影響がでるほど、毎日飲み歩いていたりしていると、妻も「こんなうざい夫とは別れたい」と思うかもしれません。しかし、何度注意してもお酒がやめられなかったり、隠れてお酒を飲んでしまったりするような夫は、既にアルコール依存症かもしれません。
アルコール依存症になると、治療には長い期間と根気が必要になります。「そんな旦那とは離婚して見捨てる」という妻もいるでしょう。どちらを選ぶかは、妻の気持ちしだいですが、1人で決断するには重すぎる問題で、周囲も相談したほうがいいでしょう。アルコール依存症を専門とする医療機関や夫婦問題に詳しい弁護士といった専門家にも相談をしてください。
新大塚法律事務所(第一東京弁護士会所属)
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