
離婚を検討しているものの、パート収入でこれから生活していけるのかや、大切な子どもの貯金がどうなるのか不安に感じていませんか?この記事では、子ども名義の預貯金が財産分与の対象になる基準や、財産分与の種類について解説します。
財産分与について適切に理解したうえで、母子ともに安心して再出発するための参考にしてください。
この記事でわかること ・財産分与の対象になる子ども名義の預貯金・学資保険などの項目
・お年玉やアルバイト代など、分与の対象外となる資産の項目
・清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与などの種類
・弁護士に相談して財産分与の手続きを進めていくメリット

弁護士法人 丸の内ソレイユ法律事務所(東京弁護士会所属)
2009年の事務所開設以来、女性側の離婚・男女問題の解決に注力しています。年間700件以上、累計5000件以上の相談実績があり、多様な離婚のノウハウを蓄積。
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離婚時に財産分与の対象になる子ども名義の預貯金

離婚時の財産分与では、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を分け合うのが原則です。
たとえ口座の名義が「子ども」であっても、その原資が夫婦の家計から出ている場合は、実質的に「夫婦の共有財産」とみなされ、分与の対象になることがあります。
ここでは、財産分与の対象となりやすい具体的な項目を解説します。
夫婦の共有財産を原資とする預貯金
子ども名義の口座であっても、その原資が夫婦の給与や家計から捻出されたものであれば、離婚時に財産分与の対象となるのが一般的です。
財産分与は、結婚期間中に夫婦が協力して得た財産を公平に分けることを目的としているため、「誰の資金で形成されたか」が重視されます。たとえ子ども名義の預貯金であっても、夫婦の給料や家計からコツコツと積み立てられた預貯金については、婚姻期間中の「夫婦の共有財産」とみなされる可能性が高いのです。
児童手当
児童手当は、法律上「児童を養育する者の生活の安定に寄与する」ことを目的として親などの受給権者に支給されます。その性質から、婚姻中に貯めていた分は夫婦の共有財産として扱われるのが一般的です。
支給の目的が親の経済的負担の軽減にあるため、実質的には夫婦の収入の一部が積み立てられたものと評価されますが、離婚後の子どもの生活を維持するために柔軟な対応が取られることも少なくありません。
離婚後の子どもの生活を考慮し、財産分与の計算に含めず、これから子どもを育てる「親権者」に全額を譲るという解決策を選択するケースもあります。
出産一時金・出産祝い
出産一時金や出産祝いなど出産に関連して受け取るお金についても、財産分与の対象に含まれる可能性が高いでしょう。
「出産育児一時金」は、出産に伴う高額な医療費等の負担を補填するために支給されます。親の支出をカバーする目的から、夫婦の共有財産として評価される傾向です。
親族や知人から受け取る「出産祝い」についても、基本的には「子どもの養育を支援するために親へ贈られたもの」と解釈されることが多く、家計の一部として夫婦の共有財産とみなされるのが一般的です。

離婚時に財産分与の対象になる子ども名義の預貯金

子ども名義の口座であっても、その原資(お金の出どころ)が「子どもの固有財産」とみなされる場合は、財産分与の対象とならない可能性があります。そのお金が夫婦の協力によって築かれたものではなく、子ども自身に帰属するものと判断されるためです。
ここでは、財産分与の対象とならない具体的なケースを解説していきます。
入学祝金やお年玉等が原資の預貯金
親族などから贈られる「入学祝金」は、基本的には子ども本人に対して贈与されたものと考えられます。これらを原資として積み立てられた預貯金は「子どもの固有財産」に該当し、離婚時の財産分与の対象にはなりません。
「お年玉」や「お小遣い」なども、子どもが自由に使うことを前提として渡される性質が強く、たとえ親が通帳を管理していたとしても、夫婦の共有財産にはあたらないという考え方が一般的です。
ただし、入学祝い金などの名目であっても、実質的に「学費や用品代を負担する両親を経済的に援助する」という趣旨で贈られたことが明らかな場合には、夫婦の共有財産とみなされる可能性があります。
子どものアルバイト代が原資の預貯金
子どもが自らの労力で稼ぎ出したアルバイト代は、夫婦が協力して形成した財産ではなく、子ども自身の努力によって得られた財産です。そのため、子どもの固有財産となり、離婚時の財産分与の対象から除外されます。
例外的なケースとして、子どもが家計を助けるためにアルバイト代を両親に渡し、それが事実上の生活費や家計の貯蓄に組み込まれていたような場合には、夫婦の共有財産として財産分与の対象に含まれる余地が生じます。
子どもの学資保険も財産分与の対象になり得る

「学資保険」は、子どもの教育資金を準備するという目的から子どもの財産と思われがちですが、「夫婦の共有財産」として財産分与の対象になる場合があります。
たとえ契約者名義が夫や妻のいずれか一方であっても、婚姻期間中に夫婦の収入(家計)から保険料が支払われていたのであれば、それは夫婦が協力して蓄えた資産とみなされるのが一般的です。
祖父母が契約者となって保険料を負担していた場合や、結婚前に貯めていた独身時代の預貯金から一括で支払っていたようなケースでは、夫婦の協力による財産ではないため、分与の対象から外れることになります。
学資保険を分与する際の方法には、2つのパターンがあります。
1つ目は、保険を解約し、得られた解約返戻金を分け合う方法です。シンプルで公平な分け方ですが、中途解約によって受け取れる金額が支払総額を下回る「元本割れ」のリスクがあります。
2つ目は、保険は解約せずに継続し、契約を維持する側が基準時点の解約返戻金相当額の半分を相手に支払う方法です。将来的に満期保険金を全額受け取れるメリットがある一方、清算のためのまとまった現金が必要となります。
離婚後のトラブルを防ぐためには、親権を持つ側が契約者となるよう名義変更を行うことが望ましいケースもあります。もし契約者が相手方のままだと、知らない間に解約されたり、満期金を受け取られたりするリスクがあるためです。
学資保険の名義変更手続きができるのは、原則として現在の契約者本人のみであることには注意しましょう。
相手が話し合いや名義変更に応じてくれない場合は、弁護士などの専門家に交渉を依頼することで、スムーズな解決を目指すことができます。
知っておきたい財産分与の種類

財産分与には、婚姻期間中に協力して築き上げた財産を双方に分け合う「清算的財産分与」のほか、離婚後の生活を支える「扶養的財産分与」、そして精神的苦痛を考慮した「慰謝料的財産分与」があります。それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身の状況に合わせて適切に請求することが、離婚後の安心につながります。
ここでは、財産分与の種類とその特徴について解説していきます。
清算的財産分与
「清算的財産分与」とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた資産を公平に分配することを指します。この分与の割合は、夫婦それぞれの収入差にかかわらず、原則として「2分の1」ずつとされることが一般的です。
財産の名義が夫または妻であっても、結婚後に得た資産であれば共有財産とみなされます。専業主婦やパート勤務の方であっても、これまでの貢献度を理由に半分の分与を請求可能です。
分与の対象となる財産には、預貯金はもちろんのこと、土地や建物などの不動産、自動車、有価証券、さらには家財道具や生命保険の解約返戻金などがあります。
扶養的財産分与
「扶養的財産分与」とは、離婚によって生活が困窮してしまうおそれがある配偶者に対し、自立して生活できるまでの期間、一定の生活費を補助する目的で支払われるものです。
夫婦間の収入格差が著しい場合や、病気、高齢、育児などの事情で離婚後すぐに十分な収入を得るのが難しい場合に検討される財産分与の方法です。例えば、長年専業主婦として家庭を支え、再就職までに一定の期間を要するケースなどが該当します。
扶養的財産分与の方法として、毎月一定額を受け取る方法などもあります。
慰謝料的財産分与
「慰謝料的財産分与」は、夫婦の一方が離婚の原因を作った場合に、その精神的苦痛を償うための「慰謝料」を含めて財産分与を行うことを指します。
本来、慰謝料と財産分与は法的に異なる性質のものです。しかし、実務上「解決金」としてまとめて精算されることも少なくありません。
例えば、配偶者の不貞行為(不倫)やDV、モラハラなどが原因で離婚に至る場合、本来の清算的財産分与に慰謝料額を上乗せして支払うことで、精神的なダメージへの賠償と経済的な再出発を同時に図ります。

子ども名義の預貯金の財産分与について弁護士等に相談するメリット

子ども名義の預貯金は、家計からの積み立てとお年玉などが混在しやすく、内訳の判断が難しいケースが多々あります。専門家に相談することで、以下のようなメリットが得られます。
- 財産分与の対象になる預貯金を正確に把握できる:どの資金が「夫婦の共有財産」で、どれが「子どもの固有財産」かを法的な視点から正確に切り分けられます。
- 財産隠しに対応できる:相手が勝手にお金を引き出している疑いがある場合、隠された口座や残高を調査できることがあります。
- 相手との交渉や必要な手続きを任せられる:感情的になりやすい直接交渉を避け、学資保険の名義変更などの複雑な手続きもスムーズに進められます。
子どもがいる場合、離婚時には財産分与だけでなく、親権や養育費についても慎重な話し合いが必要となります。弁護士やADR(裁判外紛争解決手続)の専門家であれば、これらをトータルでサポートしてくれます。
ADRは、当事者の合意形成を重視するため、お互いの感情や背景を汲み取った対話が可能です。財産分与と養育費を一体的に話し合うことで、形式的な分割にとどまらない、子どもの将来を見据えた柔軟な解決策を目指せるのが大きな魅力です。

よくある質問(Q&A)
Q1.子どものおもちゃは財産分与の対象?
子ども服やベビーカー、おもちゃといった日用品は、一般的に中古価値がほとんどなく、財産としての評価額がほぼゼロと考えられるため、通常は財産分与の対象にはなりません。
これらは離婚後、実際に子どもを育てる親権者が管理し、継続使用するのが一般的です。
ただし、ピアノや高額な楽器、コレクション性の高い品物など、価値があるものについては、共有財産として財産分与の対象になる可能性があります。
Q2.離婚後も財産分与は可能?
離婚届を提出した後であっても、財産分与を請求することは可能です。ただし、法律上の期間制限があり、原則として離婚成立から5年以内に請求しなければなりません。
この期間を過ぎてしまうと、家庭裁判所へ調停や審判を申し立てることができなくなり、権利を失うおそれがあります。離婚時に取り決めが間に合わなかった場合や、後から共有財産の存在に気づいた場合は、早めに弁護士などの専門家へ相談しましょう。
Q3.配偶者が通帳開示をしてくれないときはどうする?
弁護士に依頼すれば「弁護士会照会制度」を利用して金融機関などに照会をかけることができます。ただし、弁護士会照会は回答が義務ではないため、必ずしも情報が得られるとは限りません。
一方、調停や訴訟の段階であれば、裁判所を通じて金融機関などに報告を求める「調査嘱託制度」を利用することができ、こちらは回答が行われるのが一般的です。
個人での調査には限界があるため、相手が非協力的な場合は、早めに専門家に相談することが重要です。
財産分与の対象になる子ども名義の預貯金を確認しておこう

離婚時の財産分与においては、子ども名義の預貯金を婚姻期間中に夫婦が協力して積み立てている場合には、財産分与の対象とされるのが一般的です。一方で、お年玉やアルバイト代などは子どもの固有財産とみなされるため、財産分与の対象から外れる可能性があるでしょう。
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