【コラム#5】離婚後も共同養育がうまくいく父母の共通点と落とし穴
更新日: 2025年08月15日

離婚後共同養育を成功させるポイントとは何でしょうか?一般社団法人りむすび代表、共同養育コンサルタントのしばはし聡子さんが、多くの家族支援から見えてきた、うまくいっている父母の共通点と意外な落とし穴を解説します。共同養育におけるトラブル回避のポイントなど、実践的なアドバイスも満載です。
共同養育がうまくいく父母の共通点
共同養育がうまくいっている家庭には共通点があります。まず、「自分の人生を生きている」こと。子どもだけでなく、自分自身の健康、経済面、精神的自立を達成できている父母は共同養育がうまくいく傾向にあります。
次に、「臨機応変に対応できる」こと。決まったことを厳格に守るだけでなく、子どもの成長に合わせて柔軟に対応できることが大切です。
また、父母が同じことに同じ熱量で意見すると衝突しやすくなります。「学校のことはどちらかの親がメイン」というように、得意分野や熱量の強い方に任せる役割分担も共同養育がうまくいくポイントの一つです。
共同養育の形は家庭によって様々で、必ずしも交流頻度を高めることだけが正解ではありません。もちろん直接的な関わりがあるに越したことはありませんが、なかには、「日常生活は一方の親がメインで見て、もう一方の親は経済的にサポートする」という分担でうまくなりたっている共同養育の形もあります。
うまくいきすぎることの思わぬ落とし穴…
頻度の高い親子交流を実現している方々は素晴らしいことですが、同時に注意点もあります。頻繁に会うことで元夫婦ならではの関係に逆戻りし、共同養育がうまくいき過ぎた結果、「馴れ合い」が生じることがあります。
よくある例は、「育児を相手に押し付けたがる」という問題です。たとえば、「土日に予定があるから子どもを見てほしい」など、突発的な依頼が増えると、それまでの良好な関係が崩れることも。
予定外の依頼をする場合は、相手へのリスペクトを持って提案し、無理のないようにすることが重要です。頻繁に関わるからこそ、お互いの境界線をしっかり保つことが大切です。
トラブル回避のポイントは「相手の子育てに口出ししない」
共同養育でトラブルになりやすいのが、「相手の子育てに口出ししてしまう」ことです。子どもが相手と過ごしている間は基本的に口出ししないことが大切です。
「甘いものをを食べさせた」「冬なのに薄着だった」など、些細なことで目くじらを立てると揉める原因になります。離婚の原因が子育ての考え方の違いだったとしても、離婚後はそれぞれの親子関係を尊重することが大切です。
たとえ争わずに離婚が成立しても、離婚後の父母の関係はガラスのように繊細なケースも。ちょっとしたことで一気に関係が悪化することがありえます。
私がよく言うのは「ホームスティに行って異文化体験をしている」くらいの気持ちで、相手の子育てを見守る姿勢が大切だということ。お互いの親子関係に過度に介入せず、それぞれの親子の時間を尊重しましょう。
第三者の伴走で困難な道のりを乗り越える
連絡手段の工夫も効果的です。私たちの団体では、父母とりむすびの3者でのLINEグループをつくり父母のやりとりを見守るサポートをしています。第三者が入ることで、両親のコミュニケーションに一定の牽制効果をもたらします。
重要なのは、あくまでも「見守る」立場であること。過度に介入せず、両親自身が解決できるよう促します。感情的な表現があっても、LINEグループ内では指摘せず、必要に応じて個別に「相手からはこう見えるかもしれませんね」とやんわりアドバイスを伝えています。
私たち支援者は「心の伴走者」として、離婚後の親同士が「元夫婦」から「父母」へとシフトしていく過程をサポートしています。困ったときに頼れる存在がいることで、共同養育の道のりはずっと歩きやすくなるのです。
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一般社団法人りむすび:https://www.rimusubi.com/
※この記事は2025年8月15日に公開しました
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