夫に長い期間無視されることがたびたびあり、疲れたという方はいないでしょうか。夫婦喧嘩で二、三日口を利かないということはありますが、1週間、1カ月と長い期間無視されるようだと、モラハラかもしれません。夫にたびたび無視されて疲れたときの対処法を紹介します。
夫の無視に疲れた…これってモラハラ?いつまで続く?
仲の良い夫婦でも、ときには夫婦喧嘩をすることがあり、互いに二、三日口を利かないということもあります。しかし、妻側に特に思い当たる節がないのに、何週間、何カ月と妻を無視し続ける夫がいます。そんな夫の態度に疲れたと感じる妻も多いようです。
妻が謝っても許さなかったり、自分の気分しだいで無視し続けたりする夫はモラハラ気質の可能性があります。モラハラの場合、無視はいつまで続くのでしょうか。無視によるモラハラで疲れたときの対処法や離婚を考えたときに必要なことなどを紹介します。
夫が妻を無視する心理とは
夫が妻を長い間、無視するとき、夫はどのような心理状態なのでしょうか。状況によって異なりますが、考えられる夫の心理について説明します。無視の期間が長くなればなるほど、そして頻度も多いほどモラハラの可能性も高まります。
数日程度なら話すきっかけを失っていることも
夫が妻を無視している期間が二、三日から一週間程度なら、それだけでモラハラとまでは言えないでしょう。そのときの夫の心理としては、次の3つが考えられます。
・自分が怒っていることを伝えたい
・気持ちが収まらない
・意固地になって話すきっかけを失った
こうした気持ちになることは誰にでもあります。仲の良い友人としばらく仲たがいした経験のある人もいるのではないでしょうか。夫がこうした心理状態のときは、しばらく夫を放置して冷却期間を置いた後、妻のほうから歩み寄れば、夫婦仲を修復できる可能性があります。
ただし、怒ったときに妻の人格を否定するような暴言を吐いたり、物に八つ当たりしたりするようだと要注意です。あまりに感情的になって、無視し始めるようだとモラハラ気質を疑ったほうがいいでしょう。
1週間以上の無視はモラハラ悪化の兆候?
妻を無視する状態が1週間以上続くと、モラハラである可能性が高くなります。あからさまな無視が長く続く場合、夫は妻の態度に不満を持っています。その不満が解消されないと夫は無視をやめません。不満とは次のようなものです。
・妻が自分の怒りについて理解していない
・妻が自分の優秀さを理解していない
・自分が妻にとっていかに重要な存在かを妻が理解していない
要するに夫は、自分の存在価値を妻に認めさせようとしています。これはモラハラに典型的な考え方です。無視することによって、妻が困ったり夫に従うことを約束したりすると、夫は満足しますが、その後は気に入らないことがあると何度も無視するようになります。無視のような嫌がらせを何度も繰り返し、さらにエスカレートさせていくのがモラハラの特徴です。
3カ月以上無視の無視は、ほぼモラハラ確定
モラハラ気質の夫は、嫌がらせの言動をエスカレートさせていきますが、3カ月以上妻を無視するようになると、さすがに重症です。妻を完全に見下し、自分の思い通りになる存在だと思っています。おそらく、それまでも妻に対して暴言を吐いたり、威嚇したりといった言動があるはずで、そうであれば妻はほぼモラハラの被害者と言っていいでしょう。
本人は、自分がモラハラをしているという自覚はなく、妻の言動を懲らしめ、間違った態度を正すため、正しいことをしていると思い込んでいる可能性もあります。夫は妻が自分の言う事を聞き、従順になるよう求めています。妻が夫に精神的に支配される前に、モラハラに詳しいカウンセラーや弁護士に相談したほうがいいでしょう。
夫の無視に疲れたときの対処法
モラハラの可能性がある夫に無視されるようになり、心身ともに疲れたときは、どのように対処すればいいのでしょうか。効果的と思われる対処法を3つ紹介します。
理由を聞いて話し合う
夫のモラハラがエスカレートしないうちに対応すれば、モラハラ気質があることを夫に自覚させられるかもしれません。夫が自分を無視する理由がわからないときは、直接、理由を聞いてみましょう。このとき、素直に自分の気持ちを話してくれ、今後どうすればいいのか話し合いに応じてくれるのであれば、モラハラではない可能性があります。
夫が理由を言いたがらないときは、無視することはモラハラの一種であり、自分は傷ついていることを正直に伝えましょう。夫が自分のモラハラ気質に気付くきっかけとなるかもしれません。ただ、話し合いに応じなかったり、自分の非を認めなかったりしたときはモラハラ気質が強く出ている可能性があります。
気付かぬ素振りで普通に過ごす
モラハラ夫が妻を無視するのは、自分が怒っていることを態度で妻に悟らせるためです。自分の態度を見て、妻が気を使ったり、機嫌を取ったりすると夫は満足します。逆に妻が夫の様子に無関心で、不機嫌な態度に気付かず放置していると失望し、中にはさらに怒り出す夫もいます。
こうした性格を逆手に取り、無視されても気付かない振りをして普段通り接しましょう。尋ねても返事がなければ、「じゃあ、いいのね」と言って自分の思い通りに物事を進めてしまいます。夫があわてて文句を言っても「何も言わず黙っていたじゃない」で終わりです。自分一人で空回りしているのに気づけば、ばかばかしくなって無視するのをやめるかもしれません。
別居や離婚を考える
数カ月も妻を無視し続けるようなモラハラ夫が改心して、言動を改めるのはかなり困難です。モラハラ的な考え方で凝り固まり、妻を思いやることが難しくなっています。こうした夫と一緒に暮らし続けていると、心身ともに疲れたと感じるだけです。もう耐え難いと感じたら、別居や離婚も検討しましょう。
夫がモラハラをする理由は、妻を屈服させ支配することですから、妻が別居や離婚を切り出しても多くの場合、激しく抵抗します。中には「家を出て行ったらただじゃおかない」などと脅迫めいたことを言う夫もいます。別居や離婚を切り出す前に、弁護士にも相談するなどして十分準備しておきましょう。
夫の無視はモラハラの証拠になる?
夫から無視をされたら、それはモラハラを受けている証拠になるのでしょうか。また、それは離婚を考えた際、有利な証拠として扱われるのでしょうか。夫から無視された場合、それをどのように証拠として残し、別居や離婚の話し合いで有利な証拠として扱われるようにするには、どうすれば良いのかを説明します。
無視されたことを記録すれば有利になる?
夫から無視されたことを記録しておくと、夫がモラハラを認めないときに、証拠として役立ちます。しかし、気を付けていただきたいことが1つあります。それは、モラハラを受けていたからと言って、必ずしもそれが離婚するにあたって有利な事情になるとは限らないということです。
夫がモラハラを認めて、素直に離婚に応じれば問題はありませんが、夫が離婚を拒否したため、家庭裁判所での調停や裁判に持ち込んだ場合、モラハラがあったことだけによって夫婦関係が破綻したと認められる可能性はかなり低いものとなります。「夫婦喧嘩がこじれただけで、よくあること」と調停委員や裁判官に判断されるケースも少なくありません。
耐え難いモラハラで離婚するしかないと考えたときも、長期間無視されたというだけでは不十分で、他にも暴言や経済DVの証拠も残しておくことも必要です。さらに暴力や不倫などの事実があれば、有利になります。それでも裁判で離婚が確実に認められるとは限らず、とりあえず別居するというケースもあります。
無視されたことを記録する際のポイントは
無視されたことの証拠を残すというのは、考えてみると意外と難しいものです。相手は黙ったままで何もしないので、1日くらい口を利かなかったくらいでは無視したという証拠にはなりません。無視していた期間の出来事の記録を継続的に残しておくことが必要です。
無視されたことの証拠として、第一に考えられるのは日記です。どのようなきっかけで無視されるようになり、どのようにして無視をやめたのか。期間はどれくらいで、その間どのような態度だったのかを日記に残しておきます。時折、話しかけても返事をしない様子を録音しておくことも大切です。
無視が何日以上ならモラハラになる?
無視された期間がどれくらいならモラハラにあたるなどという基準はありません。無視するようになったきっかけや、その際の言動、無視する頻度などが重要です。とにかく、起きたことをしっかり記録しておきましょう。
長期間無視されたからと言っても、必ずしもモラハラだとは限りません。夫が仕事のストレスで鬱病などになっていたというケースも考えられます。一方で、無視していた期間が短くても、無視を始める前に妻を激しい言葉で罵倒し、妻が自分の非を全面的に認めたから無視をやめたという場合は、モラハラの可能性が高くなります。
夫の無視に疲れたら記録を残して対応を考えよう
相手を無視するというのは最も陰湿な嫌がらせの1つです。無視されたほうは精神的なダメージを受けますが、周囲はなかなか嫌がらせを受けていることに気づきません。たとえ、誰かが気付いても、加害者は「別に何もしていないよ。気のせいじゃない」と開き直れば終わりです。
こうした卑劣なやり方に対抗するには、詳細に記録を残しておくことが大切です。日記を習慣にするなどして、しっかりと記録を残すともに、そうした証拠を持って弁護士に相談し、いつでもモラハラ夫から離れられるよう準備しておきましょう。