
不倫をされると、怒りや悲しみなど強い感情が沸き上がり、復讐したいという思いに駆られる方も少なくありません。実際に感情にまかせて無茶な行動をとってしまうと、自分自身が不利な立場に追い込まれるリスクも伴います。本記事では、正当な対処法や法的手続きについて解説し、安易な復讐に走らないためのポイントを紹介します。
佐々木 裕介/チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所(第二東京弁護士会所属)
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【体験談】パートナーの不倫が発覚…!どんな復讐をした?
実際にパートナーの不倫を経験した人の体験談を通じて、どのような復讐行為が行われたのか見てみましょう。

同じ職場で働く夫の不倫が発覚した直後は、怒りと悲しみでおかしくなりそうでしたが、弁護士に相談することで冷静になれました。慰謝料請求と離婚を選択し、150万円の慰謝料を獲得しました。お金は自分への投資に使い、スキルアップと転職に成功。今では収入も増え、心の傷も癒えつつあります。最高の復讐は自分の幸せを取り戻すことだと実感しています。
(32歳 女性 会社員)



昨年、20年連れ添った夫の不倫が発覚しました。私は離婚せず、別居して婚姻費用を請求しました。毎月安定した生活費をもらいながら自分の時間を楽しんでいます。子どもは私と暮らし、夫は不倫相手と別れて戻りたがっていますが、じっくり考えるつもりです。お金をもらいながら焦らず自分のペースで決断することが私の選んだ復讐です。
(45歳 女性 専業主婦)



何となく怪しいと思っていた妻の職場不倫が発覚し、怒りに任せず、探偵に依頼して証拠を集め、弁護士を通じて不倫相手にも慰謝料を請求。証拠を見せた途端、相手は誠実に対応し示談に応じました。私は子どもの親権も獲得しました。今は子どもと二人、新しい生活を送っています。法的手段を冷静に進めたことで、結果的によかったと思います。
(38歳 男性 自営業)


不倫発覚時にまず考えるべき3つのポイント
パートナーの不倫の事実を知ってしまったとき、人はどうしても感情に振り回されがちです。しかし、後々の人生を左右しかねない重大な局面だからこそ、将来の自分にとって最適な判断を下すためには現状を客観的に見ることが重要です。


感情的にならず冷静に行動する
一時の怒りに任せて相手を攻撃するような行動に出てしまうと、法的な問題や逆に訴えられるリスクを招きかねません。まずは時間をおいて心を落ち着かせ、事実関係をしっかりと確認することが大切です。冷静さを保つことで自分の立場を守り、落ち着いた対応を取りやすくなります。
離婚を視野に入れるかどうか判断する
不倫が発覚した際に、即座に離婚を選ぶ方もいれば、関係修復を望む方もいます。これは二人の気持ちや家庭の状況、子どもの有無など多くの要素を総合的に考えた上で決める必要があります。安易に結論を急がず、パートナーや専門家とも対話を重ねながら最良の道を模索することが大切です。
証拠を確保しておく
不倫の慰謝料請求や離婚裁判などを有利に進めるには、不倫の証拠が必須となります。メールやSNSのやり取り、写真や動画などの物的証拠を確保しておくことで、後にトラブルが起きた際の交渉で大きく役立つでしょう。探偵事務所など専門家の協力も検討し、客観的・確実な証拠を集めることが重要です。
不倫相手や配偶者に対する復讐手段と注意点
法律の範囲内であれば、正当な手段によって不倫相手や配偶者に対して責任を追及できる可能性があります。ご自身が納得できる形で責任を追及するためには、法的根拠や手続きについて理解する必要があります。


不倫の慰謝料請求で合法的に責任を問う
不倫によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することが法律上可能とされています。
婚姻期間や不倫期間の長さ、子どもの有無、家庭への影響度など、様々な要因が金額の相場や請求手続きに影響します。証拠集めの方法やポイントをあらかじめ弁護士に相談し、慎重に進めることで、自分の権利を正当に主張しやすくなるでしょう。
また、配偶者だけでなく不倫相手に対しても慰謝料請求が可能なため、両方から請求することで制裁効果を高めることができます。
相手の配偶者・職場に通報するリスク
不倫の事実を相手の配偶者や職場に通報する手段は、相手に大きな社会的ダメージを与えられるかもしれません。特に社内不倫の場合、会社への報告が相手に制裁を与える手段となり得ます。
しかし、その一方で法律問題に発展し、逆に自分が訴えられるリスクも存在します。不倫問題を職場にばらすことによる法的リスクは高く、結果として慰謝料の減額や逆慰謝料を請求される事態も考えられるため、安易な通報は慎重に検討すべきでしょう。
SNSやネットへの暴露は危険が高い
SNSで不倫相手の実名や写真などを公開し、暴露を図る行為は非常にリスクが高い復讐方法です。たとえ事実であっても法的問題につながる場合があり、思わぬ形で訴訟に発展することも考えられます。
近年ではSNSでの拡散力が強く、一度投稿された情報は完全に削除することが困難です。ネット上の情報拡散は収拾がつかなくなるため、取り返しのつかない結果を招かないよう細心の注意が必要です。感情に任せた行動は避け、冷静な対応を心がけましょう。


犯罪リスクに要注意!不倫の復讐の落とし穴
感情に任せた報復行為は、思わぬ形で自分自身を法的リスクに巻き込む恐れがあります。
強い怒りや絶望感から「仕返しをしたい」という思いが湧き上がり、冷静さを失って「正義を貫いている」という思いから過激な行動に走りがちです。しかし、その行動が客観的に見れば法律違反と判断されることも少なくありません。
不倫相手への復讐心から違法行為に手を染め、結果的に自分が法的制裁を受けるということにならないよう、以下のリスクをしっかり理解しておきましょう。


名誉毀損・侮辱罪
不倫の事実を職場や友人関係など周囲に広めたり、SNSで拡散したりする行為は、名誉毀損や侮辱罪に該当する可能性があります。たとえ事実であっても、不必要に第三者に伝えることで相手の社会的評価を下げる行為は法律で禁止されています。
罰金刑や場合によっては懲役刑に処される可能性もあり、自分の怒りを晴らそうとした行為が、逆に大きな代償を招く危険性があることを忘れてはいけません。
脅迫罪・恐喝罪
「不倫をばらすぞ」「会社に言いつけるぞ」などと脅して相手に精神的な恐怖を与える行為は、脅迫罪に該当する可能性があります 。
また、「職場にばらされたくなかったら、慰謝料として1,000万円を支払え!」などと脅して金銭を要求する行為は、恐喝罪に問われる可能性があります。
強要罪
「土下座しないと配偶者にばらす」「仕事を辞めないなら、職場にばらす」といった言動で、相手に義務のないことを強制する行為は強要罪に該当する恐れがあるため注意が必要です。
偽計業務妨害罪
不倫相手の会社に乗り込んで大声で不倫の事実を叫んだり、何度も電話をかけて業務を妨げたりする行為は、偽計業務妨害罪に該当する可能性があります。
不法行為による損害賠償リスク
刑事事件に至らない行為であっても、民事上の損害賠償責任を負う場合があります。例えば、不適切な手段で個人情報を収集したり、プライバシーを侵害するような情報を拡散する行為がこれにあたります。
金銭的な負担や訴訟リスクを抱えることで、結果的に自分が被るダメージの方が大きくなってしまう可能性もあるのです。


離婚を選択する場合に押さえておきたいポイント
不倫による離婚は珍しくありませんが、感情に流されず正確な知識を身につけておくことで、後悔の少ない形で区切りをつけることができるでしょう。
復讐心を抑えるために第三者に間に入ってもらう
不倫が原因の場合、お互いに感情的になりやすく、冷静な判断ができなくなることがあります。
このような状況では、まず感情を整理するために離婚カウンセリング(夫婦カウンセリング)を受けることで、本当に離婚したいのか、それとも関係修復の可能性があるのかを見極めることができます。感情的な混乱が収まってから、冷静に今後の方向性を決断することが重要です。
そのうえで離婚を選択する場合には、弁護士などの専門家に間に入ってもらうことで、より公平で合理的な解決策を見出せるでしょう。感情に任せた離婚は後になって大きな後悔を生むことがあります。
第三者の客観的な視点を取り入れることで、お互いの感情に配慮しながらも、将来を見据えた建設的な話し合いを進めることができるのです。




慰謝料の相場と財産分与の基礎知識
不倫による慰謝料の相場は一般的に数十万円から300万円程度と言われています。ただし、婚姻期間や不倫期間の長さ、子どもの有無など、個人の事情や状況により金額は変動します。また、慰謝料と財産分与は別物として考える必要があります。
財産分与は夫婦が婚姻中に共同で築いた財産を分ける制度で、原則として2分の1ずつの分配が基本となりますが、家計への貢献度などによって割合が調整されることもあります。離婚時の慰謝料と財産分与は、それぞれ別の権利として請求できることを理解しておきましょう。



例えば、男性によくあるケースとして「妻に不貞行為をされて離婚するのだから、財産分与は1円も渡さしたくない」という主張があります。しかし、慰謝料と財産分与とは全く切り離されて考えられますので、仮に妻や浮気相手に200万円の慰謝料を請求できても、財産分与は2分の1ずつなのでトータルで数百万円から数千万円を支払うことになるというケースは往々にして起こります。


親権や養育費をめぐる注意点
離婚後も子どもの健全な成長のためには、最低限であっても両親が協力をする必要があります。復讐心だけで動くと、子どもを巻き込んだ対立が長期化し、結果的に子どもの心に大きな傷を負わせることになりかねません。
子どもがいる場合の離婚は、親権や養育費が大きな争点となります。親権は復讐や仕返しのために勝ち取るものではなく、子どもの将来や心身の健全な発達を最優先に考えて決めるべきものだということを忘れてはいけません。
また、養育費は子どもが自立するまでの費用です。金額設定や支払い方法、不払いが生じた場合の対応なども含め、具体的かつ現実的な取り決めをしておくことが重要です。相手への復讐心といった感情に流されず、子どもの最善の利益を考えた冷静な判断を心がけましょう。



例えば、女性によくある誤解として「不貞行為をして離婚を迫られており、親権も取られてしまう。」というケースがあります。不貞行為は、法律上の離婚原因として規定されていますので、もちろん相手から離婚を迫られれば離婚成立は避けられないでしょう。
しかし、離婚原因を作ったという「道徳的な過ち」の問題と「親権」は別問題です。親権は、父母のどちらが子どもの養育に相応しいかを判断することになりますので、不倫は原則として親権の決定には直接的な影響を与えません。親の道徳的な過ちよりも、子どもへの愛情、子どもの年齢、生活環境、経済力、子どもの意思など「子どもの福祉」や養育環境の安定性が重視される傾向があります。


離婚をしない場合の選択肢と法的措置
不倫が発覚しても、必ずしも離婚が最善の選択とは限りません。子どもの存在や経済的理由、長年の絆など、夫婦関係を継続したい理由は様々です。しかし、一度壊れた信頼関係を修復するのは容易ではありません。ここでは、離婚せずに夫婦関係を再構築するための具体的な方法と法的措置について解説します。


夫婦間契約や誓約書で再発を防止する方法
不倫の再発を防ぐための有効な方法として、誓約書や合意文書の作成があります。この文書には、「今後二度と不倫しない」という約束に加え、この約束を破った場合に追加で慰謝料を支払うといった条件を盛り込むことができます。
法的拘束力は限定的ですが、文書化することで心理的な抑止力となり、不倫相手との関係断絶を確実にする効果が期待できます。
特に配偶者が不倫相手と同じ職場にいる場合は、可能であれば退職や異動など物理的に距離を置く措置を誓約書に含めることも検討できます。また、スマートフォンの位置情報を共有するなど、再発防止のための具体的な行動を明記しておくと、不信感の払拭に役立ちます。
このような取り決めは、弁護士のアドバイスを受けながら作成すると、より効果的な内容になるでしょう。
再構築に向け夫婦カウンセリングを受ける
夫婦関係の再構築には、時間をかけた対話の積み重ねが必要不可欠です。怒りや悲しみ、不信感といった感情を整理するために、夫婦カウンセリングを受けることは効果的でしょう。
子どもがいる場合、不倫を契機に日常的に配偶者を罵ったり無視したりする行為は、子どもの心に大きな傷を負わせることになりかねません。子どもの前での言動には特に注意が必要です。カウンセリングでは、このような問題についても専門的なアドバイスを受けられます。
また、不倫の根本的な原因を探り、夫婦のコミュニケーションパターンや関係性の問題点を明らかにすることで、より健全な関係を再構築するための具体的な方策を見出すことができます。時間をかけて信頼を取り戻し、より強い絆で結ばれた夫婦関係を築き直す手助けとなるでしょう。
夫婦カウンセラーは中立的な立場でファシリテーターとなるため、お互いの気持ちを安全に伝え合うことができます。また、夫婦二人でカウンセリングを受けることが難しい場合は、一人でカウンセリングを受け、パートナーとの向き合い方や復讐心の癒やし方などを具体的にアドバイスを受けることができるでしょう。




復讐に走る前に、冷静な判断と正当な手段の検討を
不倫が発覚した際は強い怒りや悲しみ、裏切られた痛みを伴います。サレ妻・サレ夫として復讐心に駆られるのは自然な感情反応です。しかし、その感情に任せて違法な報復行為に走ることは、結果的に自分自身をさらに苦しめることになりかねません。
賢い仕返しとは、法に触れることなく相手に謝罪をさせる方法です。不倫という不法行為に対しては、法律で認められた慰謝料請求という形で責任を問うことができます。一時的な感情の発散よりも、証拠を適切に収集し、弁護士に相談しながら慰謝料請求を進めることが、結果的に満足度の高い解決につながるでしょう。
また、復讐は一時的な満足感をもたらすかもしれませんが、長期的な幸福につながるとは限りません。大切なのは、不倫問題をきっかけに自分の将来について冷静に考え、新たな人生の一歩を踏み出すことです。感情に流されず、ご自身の幸せを最優先に考えた判断をしましょう。